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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2024 . 04
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    ボカロ達に甘いものを食べさせてみました。
    おなかがすいたときに読むと大変、ひもじい気分が味わえます ←


    コーヒーブレイク 
    「あらぁ、私が座った途端にコーヒーとは気が利くわね。
    ミクは良いお嫁さんになれるわよー」
    席に着くなり、煎れたてのコーヒーをトレイに載せて近づいてきたミクから
    マグカップを取り上げMEIKOは笑顔で口を付ける。
    そしてブルーマウンテンの優雅な香りに満足そうに微笑んだ。
    そんな先代機の姿を困惑した様子で見ながら、ミクは申し訳なさそうに言った。
    「あの…それ、お兄ちゃんのなんです…」
    「…なんだそうなの?」
    目を丸くしつつ、それでもゆっくりと口の中のコーヒーを飲み下してから、
    MEIKOは辺りを見回した。
    ここはサッポロのとあるM/F(メインフレーム)内、VOCALOIDにあてがわれた共有フォルダ。
    入り口付近では先日リリースされたばかりのリンとレンが興味深そうに辺りを見回している。
    ミクはダイニングキッチンのカウンター端で新しいカップをコーヒーメーカーにセットしている。
    そして、自分の真向かいの席で仏頂面をしつつ、空中に浮かんだウィンドウを叩くのは…

    「…KAITO。これなんだけど、飲む?」
    「一度口をつけた物を人に勧めないでください。」
    呆れたと言わんばかりにKAITOは姉を睨みつける。
    しかし睨まれた当人はそんな事どこ吹く風といった風情で、
    もう一口飲んでからつまらなそうに呟いた。
    「つれないわねぇ。美少女エキスが入った、男なら垂涎の一品よ」
    KAITOはしばし姉の顔を無表情に眺めた後、
    新たなウィンドウを一つ開くと静かに唇を開いた。
    「…検索語句…【美少女】…-せうじょ。顔かたちの美しい少女のこと。 …。」
    「いちいち国語辞書でしらべてんじゃないわよ。
    しかも何よその最後の意味ありげな三点リーダは!」
    「あっ…の…えと…り、リンちゃん!レン君!早く席についてね!!もう準備できてるよー!」
    険悪な空気が生まれつつある状況を何とか打開すべく、
    ミクはやけに明るい口調で入り口付近に立ち尽くしていた二人の新たな姉弟に声をかけた。

    しかしリンとレンは、それとはまた別の状況に戸惑っていたらしい。
    二人は合わせ鏡のような動きで互いの顔を見合わせ…そして、小さく頷きあった後、
    代表して、リンが小首を傾げながら問い掛けた。
    「あのぉ…もうお昼ご飯食べるんスか?まだ10時なんスけど…」
    時計を指さしながら訊ねる新入りに、ミクは小さく首を横に振って笑って見せた。
    「違うよリンちゃん。これはお昼ご飯じゃなくて、コーヒーブレイクなんだよ」
    「コーヒーブレイク?」
    戸惑うように言葉を繰り返すレンに、その説明を返したのはMEIKOだ。

    「この間歌いに行ったマスターのご実家では、
    休日の午前中に家族で甘いものを食べる習慣があるんですって、
    おもしろそうだったから私達もそれに倣ってはじめてみたのよ。
    レコーディングが始まっちゃうとお互い顔を合わせる機会も減っちゃうでしょう?
    休日の午前中だったら、仕事も少ないし、のんびりするには良い時間だしね。」
    「…それに午前中に甘い物食べても、午後にたくさん動けば太らないでしょ?」
    おそらく彼女たちにとっての最大の理由であろう事項をさらりとミクが付け加える。
    「だから、日曜日の午前10時はコーヒーブレイクなの。おわかり?」
    「「はぁ…」」
    納得半分、その他釈然としない物半分。
    リンとレンは再びお互いの顔を見合わせ…
    そして、一応無理矢理にでも納得することにしたらしい。
    二人がおとなしく席に着く様を眺めながら、MEIKOは言葉を継いだ。
    「一応名前はコーヒーブレイクだけど、無理にコーヒーを飲まなくても良いのよ。
    ミクなんかはいつもジュースとか、ミルクとかしか飲んでないし。」
    「…じゃぁ、自分はミク姉と同じのがいいッス!」
    MEIKOの言葉にほっと安心したような表情を浮かべ、リンは声を張り上げる。
    その隣ではレンが澄ました表情でこう言った。
    「…僕はコーヒーで構わないです。ブラックでお願いします。」

    「さぁさみんな注目!!」
    そんなやり取りの中、いつの間にか席を立っていたKAITOが、ケーキ箱を片手に現れた
    「今日の甘味は…創業1881年。
    明治大正の頃より水果(くだもの)の贈答は千疋屋が上と謳われた天下の果物商、
    千疋屋總本店からのれん分けしたフルーツパーラーの老舗。
    旧千疋屋中橋店こと京橋千疋屋のケーキセットだよ。」
    まるで歌いあげるような声と共に、ダイニングテーブルの上に広げられた箱の中からは
    器から溢れんばかりのケーキ達がまばゆい輝きを放っていた。
    席に着いた一同が見とれるように動きを止める中、
    KAITOは手早くそれぞれの小皿へと取り分けていく
    「リンはマンゴーショートケーキ、レンはバナナショートケーキでいいかな?
    ミクはいつものメロンババロアだね。姉さんはさくらんぼパフェだよ。
    …さぁご賞味あれ」

    「…わぁ、メロンババロアのイチゴがサクランボになってる!!」
    ババロア上部に載せられたメロン果肉の合間に見える
    深紅を手に取り、ミクが驚きの声をあげる
    「丁度さくらんぼの季節だからだろうね。姉さんのパフェも期間限定みたいだったし…」
    瞳を輝かせながら歓声を上げる妹の姿を見て、KAITOはにっこりと微笑んだ。
    その横で、ふと浮かんだ疑問をMEIKOは口に乗せた
    「千疋屋って…KAITO、そういえばあんた果山に行ったんじゃなかったの?
    ジャージーアイスクリームとオレンジシャイン買ってくるって
    意気込んで出掛けてったじゃない。」
    「…うん。まぁ果山のジャージーアイスクリームも食べたかったんですけれどね…」
    KAITOの顔に一瞬浮かんだ意味ありげな表情を、MEIKOが見逃すはずがない。
    「いきなり千疋屋なんて何か裏があるんじゃない?それにKAITO。
    あんた、自分のケーキはどうしたの?」
    「…裏なんてないですよ?自分の分は後でちゃんと頂きますし…」
    容赦なく叩きにかかる姉の追及をどうにかかわそうとするKAITO。
    しかし、次の瞬間。その努力を無に帰すような声が思わぬ所から上がった

    「ねぇねぇKAITOにぃ。その後ろ手に持ってる赤いカップは何ッスか?」
    MEIKO達の視界から逸らすことに精一杯で、
    新たな姉弟の存在を忘れていた事をKAITOは酷く後悔した。

    「G、O、D…あー!お兄ちゃんったら
    ゴディバのストロベリーチョコレートチップ買ってる!ずるい!!」
    「何ですって!?あんた一人でGODIVAとか何考えてんのよ!!」
    共有フォルダの中に、MEIKOとミクの声が響き渡る。
    と同時に、KAITOは自分に向けられる非難に満ちた視線から顔を逸らした。
    「…だから姉さん達には千疋屋のケーキセット買ってきたじゃない。
    値段的にはそっちの方が上ですよ?」
    「そういう問題じゃないよ!!それ、今年の初夏発売の新しい味だよ?
    抜け駆けずるいーーー!!」
    「ゴディバはベルギーの会社なんだけど、
    社名およびシンボルマークはイングランドの伝説に出てくる
    ゴダイヴァ夫人から採られていてね…
    実はこの伝説はピーピング・トムの由来とも言われているんだよ」
    「重税を止めるために全裸で白馬に乗った女性でしょ?…って、
    微妙に役に立ちそうで立たない豆知識で物事をはぐらかさないの!」
    マフラーの裾を掴み、MEIKOは徐々にダイニングテーブルから遠離ろうとする
    KAITOの動きを牽制する

    「これは罰として一口没収だよね、お姉ちゃん!」
    「当然。」
    ミクとMEIKOが顔を合わせてニヤリと笑う。どうやら結審したようだ。
    そんな二人の横で、リードに繋がれた犬のような姿のままKAITOがぽつりと呟いた。
    「…ミクと姉さんの一口は多すぎなんだよな……」

    「あの…KAITO兄さん…コーヒーブレイクって、いつもこんな感じなんですか?」
    どこか疲れた様子でレンが問い掛ける。KAITOは暫し考えてから頷いた。
    「んー?まぁ大体そうだね。
    今日はレン達が来て初めてのだから、ちょっと豪華だけど」
    豪華なのは、甘味か、それともこのやりとりか、来たばかりのレンには想像もつかない。

    「今週は洋菓子の日だったから、次は和菓子の日になるんだよ?…何が良いかな?」
    弟機の静かなる苦悩など思いも寄らぬミクが、満面の笑顔を浮かべて声を弾ませる。

    「僕は、麻布昇月堂の一枚流しあんみつ羊羹のつもりだったんだけど…」
    「餡子なら私あれがいい!ちっちゃくてまん丸なうさぎさんの形のお饅頭!!」
    「…阿佐ヶ谷うさぎやのうさぎまんじゅう?あぁ、どらやきと合わせてそれもいいね」
    「三笠山(どら焼き)ときたら久々にアレが食べたいわね、文明堂のカステラ巻き。」
    「カステラは文明堂より福砂屋が良いなぁ…なんだか底のザラメが恋しくなってきた」
    「福砂屋だったらオランダケーキでもいいよ!くるみとレーズンの茶色いケーキ!!」


    「いい加減にしてください!!何考えてるんですかあなた達は!!」
    もはやVOCALOIDというよりはメタボロイドと言うに相応しい内容のお喋りを一喝したのは
    …レンだった。

    その溢れ出る怒りを隠そうともせず、三人をキッと睨みつけ、レンは言葉を続けた

    「さっきから聞いていれば…羊羹とか饅頭とか…しまいにゃカステラって……違うでしょう!!
    何でそんな下らないことでグダグダグダグダ揉めてるんですかっ!?」

    ドンと片手をテーブルに叩きつけ、言葉を切る。そして…


    「夏の和菓子といえば…京都鍵善のくずきり!異論は認めません!
    …とは言え、テイクアウトということを考慮して次回は笹屋伊織のくずきりでFAです!」




    おわっとけ。


    書いてあるデザートはすべて実在の代物です。
    日頃ジャンクフードが主なので、甘い物ぐらい良い物食べたいです…

    コーヒーブレイクは父方の実家での習慣で、
    本当に朝ご飯後にショートケーキやらドーナッツ等がコーヒーと共に出てきます。
    …こんな事やってるから糖尿病予備軍が多いんだ、うちの家系…orz
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