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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2024 . 04
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    一応当blog的には際物である話が最新記事ってどうかなぁと思ったので
    ちょっと某所からサルベージしたお話。

    カイミクで、ちょっといちゃついてます。



    初音さんとアダムの林檎


    リビング用に設えた共有フォルダのソファに腰掛け、
    僕が楽譜を読んでいるときだった。

    いつものように僕の側に来たミクが…
    いつもとは異なり、僕に話しかけることもせず、
    ただただじっとこちらを見つめ続けている。
    「…どうしたんだい?ミク」
    妹機のあまりにまっすぐな視線に耐えきれず、
    僕は視線を五線譜から、横に座る翡翠の瞳へと向け直す。

    「ふふふ、お兄ちゃんにもあるんだね!」
    首をかしげる僕を見て、ミクは自らののど元を指さすと
    「アダムさんのリンゴ!」
    そう言って、ミクは満面の笑みを浮かべた。

    「LEONさんに教わったの。
    アダムさんが飲み込み損ねたリンゴの欠片なんだって」
    楽しそうに語るミクの声に、ああ、と僕は小さく頷いた。

    たしか過去に人と神が交わした契約書だという聖なる書物の一節だ。
    人の始祖達が禁断の知恵の実を食べて楽園とやらを追い出された際、
    神に露見した事に驚いた男の始祖が、果実を慌てて飲み込もうとして
    誤って喉につっかえさせ…それが男性の喉仏の起源になったとか。
    LEONの所属するオクハンプトンは、当該書を教義に据える宗教圏だから
    喉仏の解説にその物語を引用すること自体何の不思議もない。
    そう、問題は…
    「リンゴというか…正確には軟骨らしいけどね。」
    「…そうなの?」
    僕の言葉に、あからさまにがっかりとした表情を見せるミク。
    やはり物語るだけ物語っておいて、事実をフォローしていなかったようだ
    ただでさえ、処理能力が追いつかず、浮世離れした思考をみせるミクに
    事実とも虚構ともつかない事をそれとなく教えるのはやめて欲しい…

    それ以前に、僕とLEONの喉仏は、それこそただの象徴物であって
    リンゴはもとより、人のように軟骨が入っているわけですらない。
    僕の声がミク達より低いのは、あの人に貰ったライブラリのおかげなわけで
    パラメーターをいじればこの喉の形状にかかわらず甲高い声だって…

    ふと下からの視線を感じて。僕は首をそちらへ向ければ
    ミクが訴えるような目でこちらを見上げている…
    「…触ってみる?」
    「いいの?!」
    「いや…なんだか、触りたそうな顔してるし。」と指摘すると、
    ミクはエヘヘとはにかんだような表情で僕の首に抱きついてきた。
    ぎゅっと抱きしめられたと思えば、そのまま幾重にも巻かれたマフラーと
    襟元を止めるコートの釦を外され、ひんやりと胸元に外気が触れる感覚。
    僕は新型のミクや露出の高い姉さんと違って、普段から露出している
    手や顔以外は一目で人工物のそれとわかる見た目をしているから、
    正直あまり人目に…というか、細かに外観をデザインされている
    ミクの目にはさらしたくはないのだけれど。
    そんな恥ずべき外観を、なんというか、キラキラとした表情で見つめるのを
    見ていると、なんだかそんな些細な外見の差異についての悩みなんか
    どうでも良くなってくる気がするから不思議なものだ。

    しばらくの間を置いて、ミクの指が、大仰なまでにそっと触れてくる。
    ほとんど活動していない僕とミクの間に温度差はほとんど無いはずなのに
    触れてくるミクの皮膚はやけに暖かく感じられ、僕は思わず目を細める。
    表面を掠めるように撫でる指先は柔らかくて、少しだけくすぐったい。
    思わず首を反らす僕を見て、ミクはおもしろそうにクスクス笑った
    「…そんなにおもしろいかい?」
    「うん。お兄ちゃんが声を出すと動いて…おもしろいよ」
    ミクの微笑みにつられ、僕の表情もほころぶ。そんなときだ。
    グサリ、とミクの親指が僕の喉元に突っ込まれたのは。

    「かはっ!?」
    吸い込むはずの空気がハタと途絶え、感じたのは咽頭の壮絶な異物感。
    「ガッ…ハ、ゲホゲホゲホゴホ!?」
    反射的に身体を折って咳き込むも、
    完全に塞がった気管は妙な音を立てるばかりで一向に機能を回復しない

    いつのまにやら手にしていたはずの楽譜は床に散乱し、
    その上に崩れ落ち、むせ続ける事しかできなくなった僕の横では、
    はわわわ!と、やはり意味をなさない声と共に右往左往するミクの姿…
    「…ご、ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!」
    焦りながらも、とにかく何とかしなければならないと悟ったミクが
    膝をついて僕の背中を何度もさすってくれるが…正直あまり効果はない。
    それでも、少しずつ戻って来た吸気に目を開ければ、
    目端に溜まった雫がパタパタと床に、楽譜に、零れ落ちていくのが見えた
    ああ、この楽譜。新しいの用意しなきゃダメだろうなぁ
    妙に冷静な頭の端でそんなことを考える。

    咳き込みすぎて痛む背はパニックを起こしたミクの手で幾度も撫でられて
    あぅぅ…と言葉にならない悲鳴を零し、ごめんなさいとかごめんなさいとか、
    嗚呼、もう何を言ったら良いのかと完全に混乱してしまったミクに
    僕は大丈夫だからと意思を込めて頭を振る。

    「だ、だって、私っ、指っ!お兄ちゃんが!お兄ちゃんがっ!」
    そんな言葉にならない支離滅裂なミクの言葉に苦笑し…
    そしてその刺激にまたむせてしまう。何という自業自得。
    呼吸さえままならずに苦しんでるって言うのに、何をしてるんだか…
    苦しみながら、自己反省する僕の聴覚に、聞き捨てならない発言が
    飛び込んできたのは次の瞬間だった。

    「LEONさんが、こうすればもっといい声になるんだヨっていってたのに!」

    …あの男、今度会ったらみぞおちに入れてやる。





    とりあえず急所晒してキャッキャウフフしてる寒色兄妹が見たかった。←

    喉仏は急所です。潰すと呼吸できなくなるので絶対に真似しないように。
    それと、LEONは毎度調子よく(無垢な)ミクを使ってKAITOを弄くって
    その度に後で大変な目に遭ってればいいと思う。

    我が家の兄さんは基本的に同性に容赦しませんし。 ←
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