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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
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    649d418c.jpg
    「Buon giorno! KAITO旅するイタリア旅行編
    今回は2日目だよ。1日目の様子、そして注意書きはこちらからどうぞ」
    【KAITO旅する 1日目 フランクフルト定刻運行】


    「Ciao!ミクです。
    朝食を済ませたら昨日の運転手さんが迎えに来てくれたの。
    …って、ええと、なんだかずいぶん前と時間が空いちゃってるよ?」

    「中の人が記事を上げた後、非公開タグ外し忘れてたんだ!」
     
    「…!?!?」
     
    「そんなわけで、4日目ぐらいまでサクサク連載するよ!!
    冒頭で言ったように今回は2日目。永遠の都ローマを旅するよ。
    アッピア街道とその周辺の遺跡、そしてクラウディア水道橋。
    その後徒歩でフォロ・ロマーノとコロッセオと…
    世界遺産や世界的な名所・史跡が盛りだくさんだ」


    「次の日はヴァチカンで、その後はフィレンツェに移動しちゃうから、
    ローマを見学できるのはこの日だけなんだよね?」


    「うん。2日目は旅行期間の中でも殊更忙しかった。
    行った場所も多いし、あまりに長くなったから今日の旅行記は分割することにしたよ…
    今回お話しする午前中は、古代ローマの史跡を中心に巡ったんだ。」


    「ではでは、お土産話の始まりです。どうぞ♪」
    ◆ローマの朝食

    13.jpg「着替えて準備をしたら、食堂で朝食だよ!
    バイキング形式でハムとかパンとか好きなだけ食べられたの
    朝食はクロワッサンとエスプレッソがイタリア流なんだっけ?」


    「それでもいいけど、観光は体力勝負だから朝食はしっかりとっておこうね。
    ちなみに、ホテルの朝食はどこもこんな感じ。
    特筆すべきはハムの美味しさかな。ほどよい塩気と肉の旨味が絶品だった」


    「あ…あとエスプレッソなんだけど、試しに飲んでみたら全く渋くなかったの!
    なんでだろう、日本と使ってるお豆の種類が違うのかな?」


    「日本のコーヒーは渋みと酸味が強くてほとんど飲めないんだけど、
    イタリアのコーヒーは本当においしかったね。ほどよい暖かさで出てくるし、
    砂糖をたっぷり入れて飲むスタイルも、猫舌で甘党の身としては大変ありがたかったなぁ」


    「ホットチョコレートも甘すぎなくておいしかったよ。
    おいしくて毎日飲んでたけど、ニキビもできなかったし!」


    「…食堂に入ったら、セルフサービスなのに給仕さんがやってきて
    『ホテルのお客さん用のエスプレッソマシーンが壊れちゃったから、
    ちょっと奥(従業員用)ので作ってくるよ。エスプレッソでいい?』って
    聞かれたときは、…なんというか、イタリアだなぁと思ったけどね…」


    「うん。お店に入ったら、レジが壊れてた事とかあったよね…」


    「クレジットカードは使えますか?って聞いたら『機械が動けばね!』とか
    観光客向けのレストランで実際にあった会話だから…まぁ、色々とすごい国だったよ



    ◆高級住宅街な古代遺跡群

    「さて、朝食も済ませた事だし運転手さんの車に乗って出発だ
    最初の目的地は『アッピア旧街道(Via Appia Antica)』
    現存するローマ街道の中で最も有名なもので『街道の女王』とも呼ばれてる。
    古代ローマ時代の石畳が残ってる歴史的価値の高い街道だよ」


    「ええと…そんなすごい道なのに普通に車走ってたよね…

    「うん。普通に走ってたね。」
    14.jpg
    石畳…保存。とかしなくていいのかな?

    「車が通ってるのは17世紀に造られた石畳だから良いんだよ
    でも、僕らが写真撮ってる横で普通に車が走ってたけどね
    紀元前の石畳の上を。



    15.jpg

    「そういえば…
    通行禁止って看板の前を、救急車が普通に走ってたような…





    「ちなみに、今このアッピア街道沿いは超高級住宅街になってるんだ。
    有名デザイナーや財界人。政治家の豪邸がたくさんならんでいたよ」

    「…なんか…そう聞くと…古代の面影があんまり残ってないみたい…」
    16.jpg

    「でもこの道は間違いなく数百キロ先、北アフリカを目指して作られたんだ。
    敷設は紀元前312年。当時の首都であるフォロ・ロマーノから、
    最終的には南イタリアのタレントゥムとブルンディシウムまでつながった
    紛れもないローマ帝国の大動脈であり、世界最古の高速道路だったんだ。」



    「そうだ!高速道路と言えば…街道脇にちっちゃな柱が建ってたんだけど…なんの場所だと思う?」
    17.jpg
    「マイルストーン…と答えた人は…博識だね。
    でも残念だけど今回はハズレ。これは古代ローマのバス停だ。」


    「正確に言うと『公共馬車の停車場』なんだって。
    当時はこの周辺に食事や飲み物を売ってるお店が並んでいて、
    乗客さんは待ち時間にそこでのんびり休息をとったりしてたんだって!」


    「ちなみに、街道沿いには他にもいろんな施設があったんだ。
    例えば『マクセンティウスの競技場』。戦車競技用の競技場の遺跡だね。
    収容人員は1万人以上、ローマ郊外では比較的大きい競技場だよ。
    ただ、完成間際に建設を命じたマクセンティウス帝が敗死したため、
    工事が中断されたまま結局使われなかった。と複数の資料に書いてある。 」

    「どんなに巨大な施設でも、造ってる途中で放置できちゃうんだね…」


    「競技場の隣には他にも多くの遺跡がある。たとえば『チェチリア・メテッラの墓』。
    ローマの執政官だったメテルス・クレティクスの娘チェチリアを葬るために
    紀元前1世紀に造られたんだけど、12世紀後半からは城塞として利用された。
    ここで当時の豪族が、街道を通行する人々から多額の通行料を巻き上げたらしい。
    自分のお墓が関所になるとか、葬られた人はどんな気分なんだろう…


    「丸い塔の上部王冠部は14世紀に要塞として使用するために付け加えられたんだって。
    近くで見ると下の部分と全然雰囲気が違ってなんかちぐはぐなの…
    中は博物館になってるようだけど、時間がないので今回はパスしたよ」


    「さらに付近には上の皇帝マクセンティウスが造ったとされる『ロムルス廟』もある。
    マクセンティウスが幼くして死んだ息子ロムルスのために建てた神殿だ。
    他にも多くのカタコンベ(地下墓所)、墓標、皇帝の離宮なんかが点在しているんだ」

    18.jpg

    「…超高級住宅地なのに道沿い遺跡まみれなんだ…」


    「遺跡の間に豪邸が建ち並ぶ光景はなかなか見られないよね」






    ◆意訳:「じゃぁ俺、お前の代わりに殺されてくるわ」


    19.jpg
    「さて、次はアッピア街道観光で一番の有名どころだよ」


    「『ドミネ・クォ・ヴァディス教会』だね
    すっごく有名な教会らしいんだけど…ちょっと地味?」




    「この教会の正式名称はサンタ・マリア・イン・パルミス教会。
    でも、ミクの言ったドミネ・クォ・ヴァディス教会の呼び名の方が圧倒的に有名かな。
    『Chiesa del Domine Quo Vadis』日本語に訳すと『主よどこに行かれますか教会
    聖ペテロの殉教を記念して建設された教会だよ。」


    「どこへ行かれますか教会って…面白い名前だよね?」

    「うん。それにはこんな伝説がある。『イエスの12人の弟子の一人ペテロは、
    イエス昇天後ローマで布教をしていたのだけど、ローマ大火をきっかけに
    ネロ帝のキリスト教徒迫害が始まってしまった。迫害から逃れたペテロが
    ちょうどこの場所まで逃げて来た時…道の向こうからイエスが歩いてきた。』」


    「あれ?昇天ってことはイエス・キリストってその時点でもう死んでるんだよね?
    十字架にかけられて死んだ後、3日後に復活して、また昇天したって、聖書にあるし…」


    「まぁ、イエスは神の子だから何でもありだし、そもそもこの話も伝説だからね…
    『ペテロはイエスに「Domine, quo vadis?:主よ、何処へ行かれるのですか?」と尋ね、
    イエスは「Eo Romam iterum crucifigi:再び十字架に架かりにゆく」と答えた。』
    つまり、逃げたペテロに代わりに死を覚悟で布教を続けると言う意味だ。


    「そんなことお師匠さまに言われたんじゃ戻るしかないよ!?」


    「うん。ペテロはその言葉に自らを恥じてローマに戻り殉教した。
    ネロ帝の迫害下で逆さ十字架にかけられて処刑されたんだ。伝承では紀元後67年のこと。」


    あぁぁ…やっぱり殺されちゃった…。
    でも、後でペテロさんは初代のローマ教皇ってことになったんだよね?」


    「そう。ローマ・カトリックではペテロは初代ローマ教皇とされている。
    そして彼の墓の上に後世になって建てられたのがサン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロの大聖堂)
    実際サン・ピエトロ大聖堂の主祭壇下にはペテロの墓所があって、
    紀元1世紀頃の男性の遺骨が納められていることが発掘調査で認められているんだ。」

    「そうそう、このドミネ・クォ・ヴァディス教会にはキリストの足形が残ってたよね。
    イエスさんがアッピア街道に現れた時に、石にプリントされたものなんだって!
    イエスさんの足、結構大きくてビックリしちゃった。大きな人だったのかなぁ…
    …でも、この石だけ周りの街道の石と違って綺麗な大理石だったよね、なんでだろ?」


    「それは言わないお約束。」



    ◆クラウディア水道橋へ


    20.jpg
    「さて、また車に揺られて…着いたのが『クラウディア水道橋』」

    「本物のローマ水道だよ!おっきーい!たかーい!なっがーい!!」




    ローマ水道(Acquedotti di Roma)は、紀元前312年から3世紀にかけて
    古代ローマで建築された街道と並んで偉大なインフラだね。
    このクラウディア水道橋は古代ローマ帝国崩壊後に一部破壊されてしまったのだけれど、
    当時は遙か先の山の湖からローマへと水を運んでいたんだ。」


    「…ところで、この前にある柵は何の遺跡なの?」

    「ああこれ?ゴルフ場だってさ」

    「ゴルフ場!?2千年前の水道橋の真下で!?」

    「うん。本当にローマの人達の生活には遺跡が溶け込んでるんだね…」



    ◆古代ローマのエジプトブーム。そして十字架のナゾ。


    21.jpg
    「さぁ、城壁を通って、またローマ市内に戻ってきたよ」
    早速目についたのは…『ローマのピラミッド』だ。」


    「これはガイウス・ケスティウスという古代ローマの行政官さんのお墓だよ
    すぐ傍にある地下鉄の駅は『ピラミッド駅』!わかりやすいね!」



    「彼が暮らしていた当時のローマではちょっとしたエジプトブームだったんだ。
    エジプトからの交易品や文化はローマの人々からしたら相当魅力的に見えたんだろう…
    まぁ、だからってお墓もエジプト風って言うのはちょっとやりすぎだとは思うけど」


    「クレオパトラが倒されて、ローマのエジプト支配が行われた直後なんだよね…」

    「他にローマのエジプト支配を物語るものとしてローマ市内の13本のオベリスクがある。
    現存するオベリスクは世界に30本、しかも本家エジプトに残るのはたったの7本だから、
    ローマは世界で一番オベリスクが建っている街でもあるんだ。
    13本中6本はローマの人が作った模造品。7本はエジプトから持ってきた本物だよ」

    22.jpg
    「よく見ると本物にはちゃーんとヒエログリフが彫ってあるんだよね。
    でも、エジプトの物のはずなのに上に十字架が乗ってるのは何でなの?」


    「あぁ…良いところに目をつけたね。
    実はローマにある全てのオベリスクの上には
    十字架やキリスト教の関連物が乗っているんだ
    。」

    「確かに…見かけたオベリスクは全部何かついてたような気が…」

    「理由としていろいろな考察があるみたいだけど…現地ガイドさん曰く『お詫び』じゃないかって
    古代ローマ帝国、特にネロ帝の時代のローマではキリスト教に対して迫害が行われた。
    その後、キリスト教は国教に定められ、ローマには教皇庁が置かれることになるんだけど
    過去に迫害してしまった歴史は消すことができないよね。
    だから、古代ローマの遺物にキリスト教色を加えることで『お詫び』とした…
    …とりあえず僕が聞いた限りはこういう事らしい。」


    「お詫びかぁ…」

    「オベリスクより、もっと露骨なのが、
    コロンナ広場にある『マルクス・アウレリウスの円柱』かな。
    紀元2世紀、当時の皇帝アウレリウスのゲルマン遠征勝利を記念した記念柱で、
    高さ30mの柱の表面にはその戦いの光景が彫られている。」


    「でも、柱のてっぺんに乗ってる銅像は、キリスト教の聖人の聖パウロさんなんだっけ?
    柱の側面の模様と全然関係なくなっちゃってるよね…」

    23.jpg
    「うん。もともと上には当然皇帝アウレリウスの像があったのだけど
    長い年月のうちに落下してしまったんだ。
    そして、代わりに乗せられたのがキリスト教の聖者パウロの像なんだよ。」


    「そこまで露骨に変えちゃうなんて、逆に怖いよ!」



    ◆世界で一番有名なのぞきあな

    「ここは『アヴェンティーノの丘』にある『サヴェッロ公園』。
    またの名をオレンジ公園と言うんだ。オレンジの木がたくさんあるからかな?
    ローマには7つの丘があるけど、そのうちの一番の高級住宅街になってるのがこの丘だよ」

    24.jpg「遠くに『サン・ピエトロ大聖堂』のクーポラ(鐘楼)、
    手前に『テヴェレ川』と『トラステヴェレ地区』が見えるでしょ?
    ここからだと世界遺産に登録されている旧市街が一望できるの」


    「路上駐車が目立つけど、ローマの道はどこもこんな感じだよ。
    むしろ路肩が正規の駐車場になっている所も多い…
    それでも時に芸術的な駐車状況を見ることができるんだ」

    「あのね。イタリアでは小さい車ほどよく売れるんだって
    理由は『路上駐車がしやすいから』…ええと、本当にそれでいいのかな…」


    「日本車はダイハツ、スズキ。ドイツ車はフォルクスワーゲン、smart…あとはイタリアのFIATぐらいで、
    大型がメインのアメ車はおろか、トヨタといった普通車メインのメーカーはほとんど見かけなかった」

    「車の宣伝で、いちばん重要なのは『小さい!!』ってことなんだって…びっくりだよね」

    「…さて、観光に戻ろうか。
    実はこのアヴェンティーノの丘にはもう一つ珍しい観光スポットがあるんだよ。」


    25.jpg「『マルタ共和国大使館の扉』だね!
    あのね、この館の扉の鍵穴から中をのぞくと…
    庭の向こうにサン・ピエトロ大聖堂のクーポラが見えるんだよ!」


    「ローマ(イタリア)、マルタ、そしてヴァチカンの3カ国を一度に眺められる
    有名な観光スポットだよ。自動小銃持った衛兵さんが周囲を警備したりして
    何とも物々しい雰囲気ではあるけど、なんだかお得な気分になれるね。」


    「でも、大使館の扉を覗くなんて…最初の人はどうやって気づいたんだろう?


    ◆パラティーノの丘からカンピドリオの丘へ


    アヴェンティーノの丘を降りると『チルコ・マッシモ(Circo Massimo)』だ。
    ここは紀元前7世紀の終わりから6世紀にかけて造営された競技場の跡で、
    使用されていた当時は10万人以上収容できたと言われる大競技場なんだよ。」

    26.jpg
    「真正面に大きな遺跡が見えるでしょ?
    あれは『パラティーノの丘』だよ。ローマ皇帝の宮殿があったところなの。
    皇帝さんはあの宮殿の中から試合を見学できたんだって!」


    「マクセンティウスの競技場脇にはマクセンティウス帝の離宮があったし
    自分の家から戦車競技を見たいのは、ローマ皇帝共通なんだろうか…」


    「次はこのパラティーノの丘のお隣。『カンピドリオの丘』へ向かうよ!」

    「カンピドリオ(
    Campidoglio)は、古代にはローマの主神であるユピテルやユノーの神殿が、
    現在はローマ市庁舎がある…文字通り今も昔もローマの中心地なところだ。」


    27.jpg

    「綺麗な広場だね!」


    「ここは丘の頂上にある『カンピドリオ広場(Piazza del Campidoglio)
    ルネサンス期の天才、ミケランジェロによって設計された広場だよ。」



    「ローマ市庁舎正面にある噴水には、中央に古代ローマの女神ローマの像。
    左にローマを流れるテヴェレ川の神、そして右にエジプトを流れるナイル川の神の像が飾られてるの
    …古代ローマの人達にとって、エジプトはとっても重要だったって事だよね?」

    28.jpg
    「そしてこの広場の真ん中にあるのが…
    古代ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの像だよ」


    「そういえば…ミケランジェロさんの設計ってことは
    古代ローマ帝国が消滅してからずいぶん経ってるよね?
    なのに何で古代ローマの皇帝の像があるの?」


    「マルクス・アウレリウス・アントニヌスは、五賢帝最後の一人で
    ストア派哲学に精通して後世には『哲人皇帝』と称された皇帝だね。
    対外的にはパルティアやゲルマン人の侵入、国内ではキリスト教勢力の拡大や飢饉、
    叛乱の発生などによって、苦境に陥るローマ帝国の安定化に尽くしたことが評価されてる。
    つまり、良い統治者のお手本として政治の中枢に像が造られたんだ。」


    「ふえぇ、すげ替えられちゃった皇帝像もあれば、お手本にされてる人もいるんだ」

    「ローマ市内に現存する皇帝騎馬像はこのアウレリウスの騎馬像が唯一なんだ。
    当然ローマ時代には他の皇帝騎馬像も製作されたんだけど…
    全て打ち棄てられたり破壊されて、現存してないんだよね。」


    「うーん、ということは…彼はキリスト教の弾圧をしなかったの?」

    「いや、アウレリウスは多神教崇拝者だからキリスト教の弾圧を行っている。
    でも『ミケランジェロの時代(ルネッサンス)』というのが、彼の功績が評価され、
    ローマ時代の神と共に、こうやって皇帝像が造られた最大の理由なんだろうね」


    「?????」

    「まぁそれについては長くなるし、後で解説するよ。」


    ◆世界の中心フォロ・ロマーノ

    29.jpg「さて、さっきの市庁舎の横から、丘の麓を撮ってみたんだけど…」

    「うわぁ!がれきの山だ!!これが『フォロ・ロマーノ』なの?」

    「あははは。今はがれきに見えるかもしれないけど、
    ここが古代世界の中心地『フォロ・ロマーノ(Foro Romano)』だよ。」



    世界の中心かぁ…なんだかすごいところだったのかなとは思うけど
    スケールが大きすぎて、イマイチぴんと来ないよ…」


    「さて、ここで運転手さんとお別れ。ここからは徒歩で移動だよ。
    フォロ・ロマーノとコロッセオの入場券は共通で12ユーロ。
    コロッセオ側の入場券売り場はいつも長蛇の列だから、
    券を買う場合はフォロ・ロマーノの入り口で購入した方が良いみたい」


    「私たちは『エミリアのバシリカ』と呼ばれている市場のあった建物横から入ったよ。
    これは、カンピドリオの丘の方を撮った写真。正面左にさっきの市庁舎が見えるね。
    右に見えるのが『セプティミウス・セウェルス帝の凱旋門』だよ。
    セウェルス帝の即位10周年の記念に建てられたものなんだって、
    この門から延びる道は当時の商業の中心地で2000以上のお店が並んでたんだって!
    にぎやかだよね!!こっちの柱が残ってるのが『サトゥルヌス神殿』、
    ここのあたりは当時の宗教の中心地でそれから…えと…ええと…」


    「ねぇミク。フォロ・ロマーノは、東西約300m、南北約100mに渡って存在する
    古代ローマの中心部の遺跡の集合体。…個々に由来を説明してたら日が暮れちゃうよ?


    「そ、そうだね…え、えと…そう!今地上に見えてるのは帝政期の遺跡なんだって。
    さらに掘ると、共和制時代の遺跡。もっと掘るとエトルリア時代の遺跡が出てくるの
    でも、使わなくなった遺跡はどんどん壊して、次の建物の材料にしちゃうのが
    つい最近までローマでは普通の事だったから…もう、どれがどの時代の石かとか、
    よくわからないところもあるんだって。」


    「有名どころの写真をいくつか上げておこう。これが『クーリア(Curia)』元老院。
    共和制ローマの最高機関で、有名なユリウス・カエサル…ジュリアス・シーザーが
    殺された場所がこの建物の地下に残っている。」

    30.jpg
    「『ブルータスお前もか!』のまさにその現場だね!」


    「ちなみにその暗殺現場は観光客向けのレストランになってるよ」

    「…ええと…、なんか…すっごく複雑な気分になるのはどうしてだろう…」


    31.jpg


    「僕が立ってる後ろが、パラティーノの丘だよ
    さっきのチルコ・マッシモから見えたローマ皇帝の宮殿跡の裏側だ。」




    32.jpg
    「フォロ・ロマーノを東西に横切る石畳の道は『聖なる道』って名前だよ
    あの有名な『真実の口』はもともとここのマンホールのフタだったんだって!」


    「嘘つきが手を入れると噛み付かれるという伝説は聞いたことあるよね?
    真実の口はカンピドリオ広場近くにあるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の
    回廊奥に設置されている。記念写真を撮りたい人で大行列になってたよ。」

    33.jpg
    「道の先にはまた凱旋門があるよ!」


    「これは『ティトゥス帝の凱旋門』。フォロ・ロマーノの東の外れにあるよ。
    ここをくぐれば、コロッセオは目の前だ。
    この門のレリーフのほとんどは19世紀に修復されたものだけど、
    ティトゥス帝に捧げた碑文は当時のまま残されているんだ。」


    「ふえぇ、やっとコロッセオの前に出たよ…あれ、こっちにも凱旋門?」

    34.jpg「これは『コンスタンティヌスの凱旋門(Arco di Costantino)
    ローマで一番大きな凱旋門だね。
    コンスタンティヌス帝は、4つに分割されていた帝国を再統一した皇帝だよ。
    でも、それ以上に有名な功績は…キリスト教を公認したことかな?」

    「ええと…ガイドブックによると、この凱旋門はフランスのパリに建設された
    エトワール凱旋門のモデルになったんだって!確かに似てるかも。」


    「単に『凱旋門』と言えばフランスのエトワール凱旋門を指すことが多いけど、
    そもそも凱旋門は古代ローマが発祥で、ナポレオンがそれに倣っただけなんだ」

    「ナポレオンが?古代ローマの影響力ってすっごいんだね!」


    35.jpg


    「この凱旋門の脇には、アッピア街道で見かけた古代のバス停が立っていた。
    フォロ・ロマーノと街道の位置から考えて、始発駅だったのかもしれない。」






    ◆元老院とローマ市民諸君!

    「コロッセオ近辺は観光客で大賑わい!その観光客目当てに剣闘士の格好をした
    怪しいおじさん達が様々な呼び込みしていたよ。一緒に記念撮影したり、
    酷いときはカメラを向けただけでお金を取られるから注意しよう

    36.jpg
    「ねぇ、剣闘士さんの脇にあるSPQRって書いてある旗はどういう意味なの?」


    「それは古代ローマ帝国の国旗だよ。
    Senatus Populusque Romanus.の略語で
    意味は『元老院とローマの市民』…つまりローマ帝国の主権のことさ」



    「そういえばカンピドリオ広場や、マンホールにもSPQRって書いてある…
    古代ローマとは関係なくても今も使ってるの?」


    「その通り。SPQRはローマの栄光と誇りを表す言葉として現役なんだ
    現在のローマ市章にもSPQRの文字は使われているよ。
    それから、ローマ市役所の広報にも使われてるらしい
    『SPQR(元老院とローマ市民諸君)!ゴミはクズカゴヘ!!』とか」


    「う~ん、呼びかけのところまではかっこいいのに…」


    ◆関東でいうなら東京ドーム、関西では甲子園球場?

    「というわけでローマ名物『コロッセオ(Colosseo)』に入るよ。
    ローマ帝政期に造られた円形闘技場で、コロシアムという言葉の語源にもなってるね。
    当時としては最新鋭の設備を盛り込んだイベント会場で、
    長径188m短径156mの楕円形、高さはなんと48m。45,000人を収容できたんだ。」


    「横に平べったいから、遠くからだとそんなに大きく感じなかったんだけど
    近づくとやっぱりもの凄いおっきいよ!!そして中も広かったの!!」


    「東京ドームの収容人数が45,000~55,000人。甲子園球場だと約48,000人、
    ナゴヤドームだと約45,000人、札幌ドームの野球観戦時が約40,000人だから…
    うん。まぁ、だいたいの大きさは想像できるかな?」

    37.jpg

    「うわぁたくさん人が列んでるよ!4階席に行くエレベータの列だね」


    「このときすこし小雨が降ってたみたいだから、雨宿りにちょうどよかった。
    ちなみに、このコロッセオには屋根はないけれど、
    昔は日差しが強いときは日除け用の布を張る設備があったんだ。
    奴隷達が働いて30分程度で屋根が張られたって言うけど、
    いったい何人の奴隷が働いていたんだろう…」



    1階のアリーナ席は元老院の人とか皇帝さんの専用席で、全部の席に名前が彫ってあるの
    ココだけ全部大理石作りなんだって!昔からVIP席ってあったんだね。
    あと、皇帝さんの座る席には一日中直射日光が当たらないように設計されたんだって。
    市民の人達も、4階の立ち見席にはいつでも無料で入ることができたんだよ。
    …でもこんなに大きな場所で何をやってたの?」


    「基本的には、現在のイベント施設と同じだよ。時には皇帝の演説もやってたみたい。
    でも一番有名なのは剣闘士の戦いかな。剣闘士VS剣闘士の他に、剣闘士VS猛獣とか…
    また、最初の頃は、ローマ水道から引いた水を張って模擬海戦もやってたそうだ。」


    「こんな街の中で海戦!?」

    「それだけ水も潤沢で、コロッセオ自体の建築技術が高かったって事だよ。
    その後、闘技場の床に剣闘士や猛獣登場用の派手な舞台装置を設置したから、
    水を溜めて模擬海戦なんてことは出来なくなったみたいだけど。」


    「派手な舞台装置?」

    人力エレベーターさ

    「…えれべーたー?!…古代ローマに?!…あったの!?」

    38.jpg「うん。試合の時、剣闘士や猛獣が床下からせり上がるように登場したそうだ。
    ただの娯楽の、演出だけのためにそこまでやるか…
    ちなみにこのコロッセオ、火山灰を利用したコンクリート製なんだよ。
    鉄筋は入っていないのだけど、建物の形を『円』にする事で力を分散させて
    地震でも崩れないように設計されている。…これホントに紀元前の建物か?


    「ふえぇ、本当に最先端のイベント会場だったんだ…」

     「うん。ただ、それだけ凄い設備も使う人がいないとどうしようもない。
    古代ローマ帝国崩壊後、使い道の無くなったコロッセオは採石場として利用されたんだ。
    建材の多くはローマ内の教会に使われ、ここの大理石の一部はサン・ピエトロ大聖堂にも使用された。
    外壁が崩れたようになっているのは、その時の名残だよ。」


    「うーん、なんだかすっごい立派な遺跡なんだけど、そう聞いちゃうと儚いなぁ…」


    ◆ある意味とってもイタリアンな衛兵交代

    「コロッセオを後にして、僕らが向かったのは『ヴェネツィア広場(Piazza Venezia)』だよ。」

    「『ローマ』なのに『ヴェネツィア』広場なんて面白いよね!
    実はこの広場の脇にヴェネツィア宮殿という建物があるから、こんな名前なの。
    このヴェネツィア宮殿はヴェネツィア出身の教皇パウル2世のおうちだったところで、
    その後ヴェネツィア共和国の大使館として使われてたからこんな名前になったの。
    元々の名前はサン・マルコ宮殿。もう、なんだかややこしいなぁ…」


    「20世紀、第二次世界大戦の時は独裁者ムッソリーニがこの建物のバルコニーから
    広場の聴衆に向かって演説を行ったんだ。いろんな意味で歴史的な広場だね。
    さて、そんな広場で一番目立つ建物が次の目的地だよ。」


    「…目立つというか…なんというか…悪目立ち?

    「このローマのあちこちから白々と見える、この超巨大ウエディングケーキみたいな建物が
    ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂(Monumento Nazionale a Vittorio Emanuele II)』だ。
    イタリア独立運動の中心となった人物であるヴィットリオ・エマヌエーレ2世の偉業を称えるために、
    26年をかけて建設された…ぶっちゃけただの記念碑さ。通称ヴィットリアーノ、ウエディングケーキ、
    タイプライター、そして入れ歯。」

    39.jpg
    「ウエディングケーキとか、タイプライターとかわかるけど…入れ歯って…」


    「ローマの人達は、この建物をあまり気に入ってないみたいだね。
    100年前の建造物とは言え、周囲は紀元前の遺跡に囲まれているわけだし、
    共和制の国の首都に王様を讃える記念堂というのも不自然ではある、
    そしてなによりこの半端ない大きさ…良くも悪くも目立ってしまうんだよ。」


    「本当に大きいね…アヴェンティーノの丘からも見えたけど、近くに来ると見上げちゃうよ」

    「このヴィットリアーノの正面、階段の途中には無名戦士の墓がある。
    戦争で亡くなった兵士達が眠るこのお墓は、常に2名の衛兵に守られてるんだ」


    「私たちがちょうど衛兵交代の時間だったんだよ。
    奥から衛兵さんが出てきて、今までの衛兵さんと交代するんだけど…
    …ええと、すごく…動きが…バラバラです…

    40.jpg
    「普通、衛兵交代って各兵士の動きが揃うものじゃない?


    「とてててて~とやってきて、すたすたすた~て帰ってったよ?
    いや、あの、衛兵さん自身は真剣にやってるみたいなんだけど…」


    「その擬態語を見て、何人が衛兵交代を想像できるだろう…」


    ◆れっつイタメシ!

    「さて、ここまで夢中になって歩いてきたけれど、そろそろお昼ご飯にしようか」

    「そうだ!早くしないと、レストランがお昼休みになっちゃうよ!」
    41.jpg
    「特に決めたお店もなかったので、道ばたのお店に入ってみたよ。
    道に置いてあるメニューの中に『カルボナーラ』があったし、
    せっかくローマに来たんだ、名物料理を食べてみようかな?」

    「カルボナーラってローマの名物なの?」


    「そうだよ。カルボナーラはローマ発祥のパスタなんだ。
    ただ、生クリームは使わないし、ベーコンではなくパンチェッタ(豚肉の塩漬け)、
    チーズはパルミジャーノ・レッジャーノかペコリーノ・ロマーノを使ったりと
    日本のカルボナーラとはずいぶん違う物みたいだけど…」


    「豚肉の脂とチーズの味がすっごく複雑!!濃厚!!おもしろーい!」

    イタリアにイタリア料理はない。あるのは各地方の名産料理だ!
    といわれるくらいイタリアの料理はバラエティーに富んでいるんだって
    もともと、都市ごとに別の国だったのも影響しているんだろうね。
    イタリアに来たらその土地の味を楽しんでみるといいよ」

    42.jpg
    「あ!『ハワイアンピザ』!これ、パイナップルがのってるやつだよね?
    私これ!!これにする!………パイナップルが甘くて美味しいよ~♪」



    「うん…まぁ、自分が食べたいものを食べるのが一番幸せだよね。」


    「いろいろマナーはあるみたいだけど、イタリアのレストランでの最大のきまりは
    食事を楽しむ!ってことなんだって。みんな、ごはんは楽しんで食べようね!!」



    ◆次回に続く

    「そんなわけで、2日目午前中はこんな感じ。」

    「ずいぶんいっぱいまわったねぇ」

    「午後は中世からルネサンス期の建物を中心に観光するよ。
    ほかにもバーやスーパーマーケットに行ったり…夜のヴァチカンものぞいてみたんだ。
    ただ、ちょっと長くなっちゃったから、今回はここまでです。」


    「それじゃ次回『2日目 ローマ市内観光後編』もお楽しみに!Ciao~!」
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