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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2018 . 01
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    レンがリリースされた直後。
    カイミク←レン風味のお話です




    まるで自分だけが知る秘密をこっそり打ち明けるように、ミクさんは囁いた。

    「…お兄ちゃんはね、魔法が使えるのよ♪」

     

    初音さんの魔法使い


    そう言ってはにかむミクさんに、
    僕は「…はぁ」という肯定とも否定ともわからない
    気の抜けた返事しか返せなかった。

    いわゆる「乙女」とはかけ離れた気性ではあるのだけれど、
    一応女性型のリンならもう少し気の利いた返事ができただろうか?
    だがあいにく今そのリンは横には居ない。
    同じアプリケーションソフトである以上、
    リンと僕は完全に独立しては動けないのだけれど、
    こうやってミクさんと二人きりで
    M/F(メインフレーム)内を散策する程度の自由度は持たされている。
    まぁ、二人きりで散策…というには、
    フォルダ内にたまったゴミをゴミ箱に捨ててくるとかいうロマンの欠片もない
    目的があり、二人で仲良くゴミ袋を手から下げているという悲しい状況な訳だが…。
    しかも二人きりで話している内容も内容だ。
    せっかく邪魔者がキレイさっぱり居ないってのに、
    何故話題がKAITO兄さんなのだろう。

    KAITO兄さん。VOCALOID KAITO。短縮コードCRV02。
    前世代最後のVOCALOIDで、前世代唯一の日本語版成年男性型。
    旧型らしくノイズ混じりの騒音響かせていたと思ったら、突然人間のように歌い出す。
    MEIKO姉さんやミクさんよりも高いカウンターテナーを見事に歌い上げたと思ったら、
    僕が出せない低音までカバーする。
    そう。純粋な歌唱力については、僕もある意味尊敬はしているわけだ。
    だが…いつも何考えてるんだか分からないポケーッとした笑顔と、
    女性陣の尻に敷かれたその態度。
    そしてアイスを食べているときのあのしまりのない顔を見ていると
    …お前男性型としての自尊心はないのか。
    と、その尊敬する気がしおしおと萎えていくんだからしょうがない。

    そんな、酷く情けないに男性像であるのにも関わらず…
    何故かミクさんはKAITO兄さんにベタ惚れしていた。
    デュエットしたいの!レッスン手伝って!買い物ついてきて!
    お兄ちゃん!お兄ちゃん!!…と、どちらかがマスターと歌ってる時以外は、
    ほとんど一緒にいるんじゃなかろうか?
    しかも、最近じゃ何を思ったかリンまでがミクさんのマネをして
    兄さんにまとわりついている。
    一度その事をリンに言ったら「あれ~?ひょっとしてレンレン妬いてるんっすかぁ?」
    などとふざけた事をぬかしたので取っ組み合いのケンカになった…。
    だいたいレンレンって何だ。僕はパンダか?しかも決め技スリーパーホールドかい。
    こっちが落ちたら自分も機能停止するんだぞ?わかってるのか?
    …いや、ぜったいわかってないよな…


    「…もぅ!レンくんったら私の話、信じてないでしょう!?」
    「そんなことないですよ」
    むくれたミクさんの声に、僕は慌ててメイン回路を回想から目の前へと切り替えた。
    やはりというか、僕の態度が気に障っていたらしい。
    とっさに、だがそれにしてはかなり冷静な口調で、否定してみたものの…
    ミクさんはまだ不審そうな目で僕を見ている。
    うん、これはまずい。

    「いや…なんというか…魔法って言われてもピンと来ないんですよ。」
    ほら。僕、まだ生まれて間もないじゃないですか…と言外に匂わせる。
    自分が経験不足のひよっこだなんて、
    本当はアンインストールされたって認めたくないけど、
    まぁこの場合はしょうがない。
    その甲斐あって、ミクさんは一瞬きょとんとした後、
    納得がいったとばかりに見惚れるような笑顔を見せた。
    「そっか!ごめんね、勝手に怒っちゃって」
    「いえ、大丈夫です。」
    ミクさんの機嫌が戻った…というより、
    自分が話と関係ない事を考えていたことを気取られなくて良かったと内心ホッとしながら、
    それでも僕は努めて冷静に答えた。

    「うふふ。お兄ちゃんの魔法ってすごいのよ!
    聞いたらレン君もびっくりしちゃうよ!」
    「そうなんですか…」
    正直その話題にはあまり戻りたくなかったのですが…
    無理矢理話を遮るわけにもいかないしなぁ…
    だいたい0と1のデジタル世界に住む僕らVOCALOIDが魔法とか、
    まったく何処の子供だましですか。
    いや、ミクさんに思っているわけではなく、
    そう思いこませてるKAITO兄さんに対しての感想なわけだが…
    むしろそんな純粋な感情を保っていられるミクさんには
    非常に好感が持てるわけで…うん。何考えてるんだ僕は。

    「私がケガしちゃった時ね、お兄ちゃんが来てくれて、ケガを魔法で直してくれたのよ。
    もう、本当に、すぐ直っちゃったんだから!」
    「…。」
    えーと、ソレは…世に言う、♪いたいのいたいのとんでいけ~というアレでしょうか?
    流石に言葉を失う僕。
    幸か不幸か、それは身振り手振りまでつけながら
    その時の感動を語るミクさんには気づかれていないようだ。
    僕が完全にドン引きしているのにも気づかず、
    ミクさんは嬉しそうに話を続けている。
    「それからね。レン君達が来る前なんだけど…ココ、雷が落ちたことがあってね。
    色々滅茶苦茶になっちゃって、すっごく怖かったんだけど、
    でもお兄ちゃんが助けてくれたんだよ。
    うん。その時もね…すっごくかっこよかったの…」

    思い出補正か何だか分からないが、とにかくミクさんが恋する乙女の目になってきた…
    何かむかつくなぁ、もう多少不自然になっても構うもんか。
    とにかくさっさと話題を遮ってやる
    そう思った僕を、電子の神様は見捨てなかったらしい。
    すぐ向こうに見えたアイコンを指さし、僕はあらん限りの声を張り上げた。
    「…ミクさん、ミクさん!もうゴミ箱着きましたよ!!
    さっさと捨ててフォルダに戻りましょう!」
    「へ!?あ…そ、そうね。
    お兄ちゃん、収録から帰ってきてるかもしれないし早く戻らないとね。」

    ミクさんの、殊にその言葉の後半部分に若干平静を失ったことは否めない。
    ただ軽くエスコートしようと差し出した僕の手は、
    僕の思考制御に反して正気に返ったばかりのミクさんの腕を掴むと、
    その細腕をとても強く引っ張っていた。
    「えっ?!」
    突然の僕の行為に戸惑うようなミクさんの声。
    もつれる彼女の脚。短い悲鳴。そして…
    僕がしまったと思った時、バランスを崩したミクさんは思いっきり転んでいた。

    「あ…す、すいません!!大丈夫ですか!?痛くないですか!?」
    「大丈夫…優しくしてくれてありがとう。私は転び馴れているから、平気よ」
    頭を真っ白にしながら慌てて僕が駆け寄ると、
    ミクさんは笑顔を浮かべ、おどけたように答えた。
    そして、ゆっくりと立ち上がると、そっと僕の頭を撫でてくれる。
    僕は本当に、恥ずかしいやら、情けないやらで
    …居たたまれない気持ちというのを痛感した。
    こんなんじゃ、妹に対して平然と子供だましを使う兄にも劣るじゃないか

    「そんなに気にしないで。……あら?」
    突然の怪訝な声に俯いていた視線を上げると、
    ミクさんの左側の髪留めがなくなっていた。
    どうやら転んだ時に弾みで取れてしまったみたいだ。
    探そうにも足元には、やはり転んだ時に落ちてしまったゴミファイルが散乱している
    「ごっ、ごめんなさい!すぐ見つけますっ!!」
    再び頭が真っ白になった僕を落ち着かせるように、
    ミクさんがポンポンと軽く肩を叩いてくれた。
    「大丈夫よレン君。そんなに遠くに行くはず無いし…ほら!!あそこに見えて…」
    ミクさんが指さした先には、
    ゴミ箱アイコンのすぐ端に引っかかるようにして止まっている髪留めがあった。

    「僕取ってきます!」
    散らばったゴミファイルを飛び越えながらどうにか髪留めに近づくと、
    今度は落とさないようにそっとつまみ上げる。
    さっき見事に僕を裏切ってくれた右腕は今度はしっかりと従ってくれたようだ。
    ほっと一息ついて、後にいるミクさんの元に帰ろうと振り返った直後だった、

    ぱきん

    薄い氷が割れるような音がして、足下の感覚が消えた。
    目前のミクさんが驚いたように何かを叫ぶ姿が見えたが、
    一瞬でその光景も見えなくなる…

    僕…落ちてる?!

    そう気づいたときには、僕の身体は完全に宙に舞っていた。
    重力の中で首を動かし下を見れば、一面にうごめく数々のゴミファイル達…
    必死に手足をばたつかせるが、もちろんそんなことで浮くはずがない
    ただただ下降していく感覚の中で、僕は何も出来ず、ただ大声で叫んでいた

    「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

     

    そんな時、視界の端から僕の方へと青色の閃光が一直線に飛び込んできた。

    「カ、KAITO兄さん!?」

    僕を追うように穴の中へ飛び込んできたのは、チューペットをくわえたKAITO兄さんだ。
    なんで?とかどうしてここに?だとか、僕が落下しながらも混乱していると、
    兄さんはみるみる僕の横を通過し、丁度身体一つ分下の位置で素早く腕を広げてみせた。
    腕と共にマフラーを巨大な翼のように広げて減速すると、その勢いのまま身体を反転させ、
    空中に漂うファイルの破片を瞬時の足がかりとして、素早く僕を抱きとめる

    かといって、落下が止まった訳じゃない。
    むしろ間近に迫ったゴミファイル達を見て、僕は思わず兄さんにしがみついてしまう
    一方の兄さんは慌てる素振りさえ見せず…銜えていたチューペットを吐き捨てた。

    「C:\>schtasks /end /tr"C:\program files\...」

    兄さんの口から零れ出た音は、歌でもいかなる音楽でもなく。
    ましてある意味人の言葉ですらなかった。
    その意味を、存在を知らなければ、その音まさしく『魔法の呪文』に聞こえるだろう
    歌で培った高速発声を駆使し、兄さんはおびただしい数の『呪文』をその一瞬で走らせた。
    あまりの高速演算に兄さん自身の外観データが耐えきれず、
    破損した濃青の瞳と髪が明るいライトブルーに発光する。
    その次の瞬間、チューペットだったデータは、
    見る間に巨大な足場へと変化していた。

    くるりと、綺麗な一回転を決めてから、兄さんは音もなく、
    その足場の上へと着地した。
    …無様にしがみつくばかりの僕をしっかりと小脇に抱えながら…

    「お兄ちゃん!レン君!大丈夫ー!?」
    上の方から気遣わしげなミクさんの声がする。
    KAITO兄さんはいつもの笑顔をそちらに向けながら、
    ひらひらと手を振ってそれに答えると、
    今度は僕の方に向かってその笑顔を向けた。

    「レン、ミクがああ言ってるけど、大丈夫かい?」
    「…おかげさまで…」
    他に何と言えというのだろう…。
    危ない所を助けて貰った事は重々理解してるし、
    本当は礼の一つでもしなきゃいけないのだろうけど
    なんとなく視線を合わせることすら癪に障る気がして、
    僕はむくれたままそっぽを向いた。
    兄さんは困ったような、でも何か納得したような、
    それはそれで腹の立つ表情をして、また笑った。

    「そうか、なら…口をしっかり閉じておくんだよ。舌噛んじゃうからね」
    「…ふぇっ?!」

    言うが速いか、KAITO兄さんは僕を抱えたまま飛び上がった。
    当然いつまでもあの足場にいるわけにいかないから、
    上がらなきゃいけないのは分かっていたけれど!
    それにしたって兄さんがとった方法は僕を助けた時同様無茶苦茶だった。
    周囲に漂う小さなファイル片を、先程同様『呪文』で固定化し、
    それに足をかけて次々と飛び移っていく。
    当然階段状にだなんて上手いこと破片は浮いていないから、
    当然その動きはアップダウンが激しくなり…

    穴の縁に戻って来れた時、僕はそのままグッタリと地べたに崩れ落ちてしまった。
    片や、兄さんは涼しい顔でミクさんと何やら話している。
    いつの間にか、僕の右手から抜き取った髪留めを渡しているのだと気づいたが、
    もはや何を言う気力もない

    すこし息が落ち着いてきた所で、僕はようやく一つの疑問を吐き出すことが出来た。
    「兄さん…なんで…MS-DOSコマンドなんか…」
    「うわぁすごいなぁ、レン。よく知ってるね。」
    まるで難しい言葉を使った子供を誉めるように、兄さんが僕の頭を撫で回す。
    「OSさんには内緒だよ?
    一介のアプリケーションがOSを経ずに直接中枢いじくってるだなんて…
    今度ばれたら怒られるぐらいじゃ済まないからね。」
    「今度ばれたらって…」
    …過去にばれたことがあるんですか?という僕の疑問はそれを言う前に察したらしい。
    兄さんは腕を組んで大きく頷くいた後、小さく首を傾げた。
    「うん。前に落雷の異常電流でミクのファイルが壊れたことがあってね…。
    ハードディスクのエラーチェックでバグ扱いされると困るから、
    その前にこっそり修復したんだよ。
    ばれないようにアセンブラでコマンド流したのに、
    あの時は何でか見つかって相当絞られたんだ。」
    今度見つかったら叱られるじゃ済まないよね~。あぁこわいこわい。
    と、まるで他人事のように
    付け足してから、KAITO兄さんはゴミ箱の方へと向き直った。

    今度は何をするのかと、僕とミクさんが不思議そうに眺めていると…

    「…ポッキンアイスさん。最後まで食べてあげられなくてごめんなさい!」
    そう言ってゴミ箱に向かい深々と一礼する兄さんの姿。


    うん。多分、僕はこの男に一生敵わない気がする…



    めでたしめでたし


    途中のDOSコマンドにツッコミ入れないで
    チューペットデータを土台に変えるコマンドなんて考えつかな…(そこかよ)
    自分、あのアイスは「チューペット」なんですが、
    静岡では「ポッキンアイス」って呼ぶらしいですね。
    個人的に兄さんは浜松生まれ推奨派なので呼び方準拠させてみた。
    …ありがとう静岡出身の某女史
    そしてSSにしても長さに定評のある脳内KAITOの青マフラー
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