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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2017 . 09
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    どたばたしてますが久々の更新。
    リンレン話ですが相変わらずレンが可哀想になってます…




    鏡音君のちからだめし


    リビングに誰もいないのを見て、僕は「練習室」に足を向けた。
    その名の通り、歌やダンスの練習用にとサッポロの人に作ってもらった部屋だけど、
    ぶっちゃけ、上手かろうが下手だろうが、マスターさんの入力した通りに
    歌うしかない僕らにとって、練習なんてあんまり意味がないわけで…
    実情、練習という名目の暇つぶしに歌う場だったりだとか、踊ったり運動したり、
    果てはリンのRR試走場や謎の物体隔離施設…みたいな所になってたりする。

    練習室に近づけば、中から騒がしい音が聞こえてきた。
    みんなそろってるようなので珍しく合唱練習でもしているのかもしれない…
    そう思ってドアノブに手をかけ、扉を開けた途端に聞こえてきたのは、
    綺麗なハーモニーどころか声ですらなく
    どったーんと、大きな何かが床に叩きつけられたような間抜けな音。

    ゆっくりと開いた扉の先には、乱れたマフラーを巻き直すKAITO兄さんと、
    扉横からそれを見つめるリンとミクさん。そして、床の上で苦悶するがくぽさんの姿。
    「だめだよ、がくぽ君。ちゃんと受け身を取らないと」
    しかも兄さんは何処か悠然とした風で、床のがくぽさんに声をかけている。
    「…KAITO兄さん、あなたココで何してるんですか?」
    いきなり飛び込んできた想定外の光景に戸惑いつつも、
    おそらくがくぽさんを床上のオブジェにしたであろう張本人に尋ねてみる。
    しかし、答えを返してきたのは一部始終を見ていたらしい興奮気味のミクさん達だ。

    「あ!レン君おかえりなさい!あのね…がくぽさんとリンちゃんがお歌の練習して…
    それで、がくぽさんがお兄ちゃんとお話しはじめたの…それでね
    お兄ちゃんがえいって!がくぽさんが飛んじゃって!歌と同じなんだなって!」
    「っていうか、がっくんとにぃにぃがどりゃーって始めたんだってば!もうすっごいの!
    あのがっくんがうりゃーって空飛んじゃうんだよ!きれーに宙で円書いてっ!!」

    …いや、元からこの二人の説明になんて微塵も期待してなかったけどさ
    全く説明になってない説明で熱弁をふるうミクさん達から、
    困ったように視線を外せば、KAITO兄さんも困ったように笑っている。
    「僕たちは情報体だからね。効率的に情報を処理することさえできれば、
    性能や容量で劣る僕でも最新型のがくぽ君に勝てるって、それだけの話さ」
    「効率的な情報処理…ですか?」
    今までの説明よりは遥かに意味のありそうな兄さんのセリフを、僕は復唱する。


    僕らはコンピューターの中で動くアプリケーションだ。
    だから、動いたり、歌ったり、それどころかここに存在するってだけでも、
    常にたくさんの情報を処理し続けてなきゃならない。
    つまり処理する能力が高ければ高いほど、何をするにも優秀って事だ。
    だから純粋に性能から考えれば、KAITO兄さんやMEIKO姉さんといった旧型は、
    新型の僕らやミクさん。そしてがくぽさんにあらゆる面で劣っている事になる。

    …でも、実際はそうじゃない。
    MEIKO姉さんに正面から逆らおうなんて命知らずは皆無だし、
    KAITO兄さんの意地悪に純粋な僕らが出し抜かれる事なんていつものことだ。
    これは、僕らとの性能差を「経験」でカバーしているから、らしい。
    「稼働時間」が長い分「経験」から、少ない能力でも「より効率的な情報処理」
    とやらを会得しているためなんだとかなんとか…
    まぁ、人間で言う年の功ってやつだと僕は理解している。口には絶対出さないけど。


    「歌うのも身体動かすのにも無駄な処理はない方が良い。
    かといって、普段過ごしてたり歌を歌ってる分だと実感しにくいから、
    瞬間的に判断や実行しなきゃならない例で体験した方がいいかなと思って。
    がくぽ君も良い経験になっただろう?」
    「…お恥ずかしい限りです。某、改めて己の未熟さを思い知らされました。」
    「実働時間はどうしようもないわけだし、気を落とすことはないさ
    反応自体は良いし、あとは実行前のラグを何とかすればいいんじゃないかな?」

    兄さんの言う理屈は分からないでもないけれど、
    だからって、後輩と組手格闘ってのはどうなんだろう…もっと他の方法が…
    まぁ、ようやく起き上がったがくぽさん自身がなんか納得しちゃってるようだから
    途中から来た僕が変に発言して、ヤブヘビする必要もないよな。
    とか何とか考えながら、僕が曖昧に頷いてその場を終わらせようとすると、
    「じゃー次、あたしー!あたしがやるッス!!」
    リンの脳天気な声が、音響の整ったフォルダ内に響き渡った。

    「…ええと、何をだい?」
    心なしか青ざめた兄さんがリンに尋ねる。
    「にぃにぃと組手に決まってるッス!」
    「え、なんで?」
    ミクさんがきょとんとした顔で尋ねる。
    「なんかやってみたいからッス!」
    「お前兄さんの話聞いてたのかよっ!?」
    最後に僕が声を張り上げると、
    リンはぺたんとした胸を張りながら、やたら自信満々にこうのたまった。
    「バカにしないでよ!ちゃんと聞いてたってば!!
    にぃにぃに勝てばこーりつてきなしょりってのが出来てるって事でしょ?!」

    がっくりと頭を抱えながらKAITO兄さんが小さく首を振った。
    「…まぁ、そういう風にとれば、そう言う解釈も出来る…のか…?」
    「いやいやいやっ!!根本的に間違ってるだろっ!!
    そんなザマで兄さんに勝てるワケないって話だろっ!このバカリン!!」
    「ああぁっ!?またレンレンあたしの事バカにしたぁっ!!」
    見当違いもイイとこな論点に腹を立てギャンギャン喚くリンに応えようと
    僕が大きく息を吸い込んだところで…不意に背後から肩を叩かれた。
    振り向けば、KAITO兄さんが、何処か、非常になんとなくだが、
    とっても嫌な予感のする笑顔を僕の肩越しにこちらへ向けている。


    「ねぇリン。僕は今ので疲れたから、レンに相手してもらうってのはどうだろう」
    「え?」
    「はぁ!?」
    KAITO兄さんの素っ頓狂な提案に、僕とリンは思わず顔を見合わせる。
    何だっていきなり僕が捲き込まれなくっちゃならないんだ?
    という僕の心を読んだかのように、KAITO兄さんは笑みを深くして言葉を続けた。

    「ただし組手は危ないから『腕相撲』で勝負。力任せにやったってダメだよ?
    ちゃんと肘を台に付けて、手の甲が台についた方が負けっていうのはどうだい」
    「ちょ、ちょ…ま、待って下さい!!腕相撲ったって無理ですよ!!
    僕の手首へし折られてもいいってんですか!」
    「そうッスよにぃにぃ!へなちょこなレンレン相手にしても面白くないッス!」
    「誰がへなちょこだ!誰がっ!」
    こんなゴリラ女と腕相撲なんてやりたくないに決まってるわけだが…
    あまりに聞き捨てならない台詞には速攻で一言返しておく。
    俺がへなちょこなんじゃない!お前がが暴力的すぎるんだよ!!

    「どうかな?リンとレンは性能一緒だし、経験量も一緒なんだから
    けっこう良い勝負になると思うんだけど」
    「確かに…某とKAITO殿と異なり、リン殿とレン殿は同一あぷりけーしょん。
    同条件の分、純粋に瞬間的な処理能力の差が見極められるというわけですか…」
    ニコニコ笑うKAITO兄さんの横で、がくぽさんが生真面目な顔で考え込む。
    いやいや、勝手に納得しないでくださいよ!?勝負になんかなるわけ無いだろ!!

    がくぽさんの言葉を聞いた後も当然のように拒絶する僕と、
    あいかわらずぶちぶちと不満げな顔をしているリンを交互に見て…
    兄さんは、ニヤリと口の端だけつり上げた、悪い顔でこうのたまった。
    「じゃぁ、リン。レンに腕相撲で勝てたら…僕が相手してあげるよ。」
    「レンレン。あんたに恨みはないけど五秒で沈めるッス」
    うおぉい!何ヤる気出してんだこいつはっ!?
    「レン君、頑張ってね!」
    あ、はい。頑張りますミクさん…ってそうじゃねぇ!!
    危うく流され掛けた空気を断ち切るように頭を振る。

    そっと近づいてきたKAITO兄さんが僕の耳元で小さく囁いた。
    「騙されたと思ってやってごらん。ミクやがくぽ君の前で『負ける』のは嫌だろう?」
    「そ、そりゃ絶対に嫌ですよ。こんな衆目の前で負けたくなんてありません!」
    「じゃぁ大丈夫。男性型の意地を見せてくれ」
    何がどうなってどういう具合で大丈夫なのかは不明のまま、
    ぽんぽんと僕の肩を叩いた兄さんが後ろに退いていく…
    前を向けばリンがどこからか出してきた机の向こうで目を輝かせて臨戦態勢だし、
    その周りではがくぽさんとミクさんが期待のまなざしをこちらに向けて…
    おいおい…完全にアウェーの空気じゃんかこれ…

    どうやら完全に退路はふさがれてしまって、
    何が何でもリンと腕相撲しなきゃならない雰囲気に僕は大きく溜息をつく
    もう逃げ出すことも出来なくなって、僕は覚悟を決めて前に歩み出た。
    「よし、じゃぁ二人とも手を組んで」
    KAITO兄さんを審判に、僕らは台の上で手を組み対峙する

    「準備は良いかな?では……始め!」

    始まった瞬間に床に叩きつけられるとか、壁に吹っ飛ぶとか、
    そう言うのを覚悟していたというのに…何ともない。
    いや、何ともなくはないか…腕に力は入ってる。手はしっかりと組み合わさって
    リンが思いっきり力をかけてるのがひしひしと伝わる。
    数十センチ先の相似の顔は真っ赤になって…女とは思えないひどい顔だ。
    でも、あれ?…これ、…普通に、拮抗してない…か?

    「レン君すごーい!!頑張ってぇ!!」
    背後の声援に気を取られ、一瞬腕が傾く。が、慌てて何とか持ち直す…
    表情からいって、リンは手を抜いてるわけじゃないみたいだ。
    何故?…何故かはよく分からないけど…これ…ひょっとして、勝てるんじゃ…

    「リン、肘が外れたらその時点で負けだよ?」
    審判であるKAITO兄さんの冷静な指摘。
    その指摘に気を取られたのか、合わさった手からほんの僅かに力が抜ける。
    …今しかない!
    リンが気を抜いたその瞬間、僕は腕に全体重を掛け、腕ごと机の上に倒れ込む、
    その一瞬の加速度の後、指に感じるのは硬い机の感触で…

    「勝負あり!」
    KAITO兄さんが僕の腕を取って天へと向けた。
    次いでミクさんの歓声とがくぽさんの感心したような声と拍手が部屋に響く。
    「か…勝った…」
    実感が湧かないまま右手を眺めれば、力を入れすぎたのか小刻みに腕が震えている

    「う…っそだぁ……」
    机の向こうからは、やはり負けた実感がないのか、リンが呆然とこちらを見ていた。
    「え、…なんで…え?…どして?」
    実感がないと言うより、あまりに思いも掛けなかった展開に混乱しているらしい
    僕と同じように右手を見つめ、へなへなと力なく座り込んでしまう。
    日頃パワーキャラで売ってるだけに「力比べ」で負けた事がショックなんだろう
    それでもうつむいて肩をふるわせて、泣いているかのような仕草は
    やっぱりコイツも女性型なんだなとか、ミクさんの妹だよなとか思うほどに
    頼りなげで、なんというか、同情心がむくむくと湧き出てきてしまう。
    一応自分は男性型なんだし、もうちょっと手加減したりとか、気を遣ったりとか
    その…大人な対応というのをすれば良かったのかもしれない…

    「お、おいリン。大丈夫か?」
    らしくない姿とそれによって湧き上がってきた意味不明な感情に困惑しつつ
    僕はうずくまるリンに駆け寄り、声を掛ける。
    と、フルフルと震えていた頭を突然振り上げ、リンが叫んだ。

    「うっそぉぉぉぉ!?なんでなんでなんで!!ひょろひょろでへなちょこで
    ふにゃふにゃででれでれで意気地無しでチキンでもやしでよっわくって
    男らしさの欠片もないレンレンに負けたぁぁぁぁ!!ありえないぃぃぃ!!」

    …前言撤回。負けて当然だこんなやつ!!

    後はもう、KAITO兄さん達が止めるもの聞かず、
    いつものようにバリゾーゴン飛び交う舌戦の火ぶたが切って落とされ、
    とっくみあいに発展したソレを、帰ってきたMEIKO姉さんによって強制終了させられるという
    全く持っていつも通りのパターンを辿ることになってしまった…

    ええと、結局。僕的にはただの疲れ損じゃないのか。この流れは…





    ……
    ………

    「ねぇ、リンに何があったか知らない?
    いきなりベンチプレスやるからバーベル貸して!とか言ってきたわ」
    晩酌用の缶チューハイを片手にリビングへと現れたMEIKOが、
    ソファを占拠する先客達に不思議そうに声を掛けた。

    帰宅後、いつも通り鏡音妹弟の騒動を武力制圧した後、
    いつもなら反省しているのか不安になるほどあっけらかんと去っていく妹が、
    今回は何故か涙ながらにトレーニング器具を貸して欲しいと強請ってきたのだ。
    そもそもベンチプレス用のバーベルをVOCALOIDが所有していること自体
    既に色々とツッコミ処があるのだが、幸い(不幸にも)、
    そんな事を気にする者はこのフォルダ内には存在しなかった。

    「ああ、レンと腕相撲やって勝てなかったんですよ。
    リン本人は圧勝できると思ってたみたいで…悔しいんでしょうね」
    ソファに腰掛け、複数のニュースサイトを流し読みながらKAITOが答える。
    MEIKOは、チューハイをグラスに空けながら、ますます納得がいかないと首を傾げた。

    「そりゃぁ、『レン』相手に『リン』が勝てるわけないじゃない
    『自分』の右手と左手で腕相撲やってるようなものなんだから
    どっちかが『負けよう』とか『相手に勝たせよう』とでも思わない限り、
    勝ちもしないし負けもしないでしょ?」
    「え?…じゃぁ、どうしてさっきはレン君が勝ったの?」
    MEIKOの言葉にミクが驚いたように顔を上げる。
    兄の横で楽譜を捲っていた指を止め、MEIKOとKAITOを交互に見つめて…

    「机から外れそうになった肘を戻そうとして、気が散ったんじゃないかな?」
    ニュースサイトから視線をそらすことなく、
    当然のように言い放つKAITOをミクはじと顔で睨み付けた。
    「…お兄ちゃん。」
    「仕方ないだろう?ああでもしなきゃ、二人とも倒れるまで決着つかないんだから」
    「それはそうだけど………あれ?」
    相変わらず飄々とした兄の言葉に納得しかけ、ふとミクは動きを止める。
    そもそも、リンとレンが腕相撲をするに至った経緯は何だったか…

    「お兄ちゃん…まさか、リンちゃんの相手したくないから…
    絶対に決着がつかないの知ってて、リンちゃんとレン君に腕相撲させて、それで、
    わざとリンちゃんの気が散るようにして、絶対にレン君が勝つようにしたって事?
    そうすれば、お兄ちゃん。リンちゃんと組手しないで済むから…」

    あわあわと必死になって事情を尋ねようとするミクの隣で、
    KAITOの目の前に表示されていた幾つものウィンドウがかき消えた。
    周囲から表情を隠すかのように目をそらしたその口元は…この上なく楽しそうだ

    「リリース直後のがくぽ君ならまだしも、そこそこ経験量も豊富で
    性能も良いリンに本気で飛びかかられたんじゃ無事じゃすまないよ。
    …そもそもこういった小細工含めての情報処理が重要って話だったろう?」
    良い勉強になったじゃないか。よかったねぇ、ミク。」
    碧い頭の天辺をわしゃわしゃと撫でて、KAITOはすっと立ち上がる。
    そのまま悠然とリビングを去っていく白銀の背中を眺めミクはぽつりと呟いた。
    「…うう…なんか…納得できない…」

    「何があったか知らないけど
    こういうの承知であの性悪に惚れたんでしょ?諦めなさい。」
    つまみピーナッツを囓りながら、MEIKOは諭すようにこうのたまった。

    めでたしめでたし。きっと。

    先日近所の学園祭に出かけたところ、
    むきむきマッチョなお兄さんがレンの格好でたいやきを売ってました。
    隣の際どいスリットが入ったチャイナドレスの益荒男も凄かったのですが、
    ポップなセーラー服とマッスルな腕の対比に噴き出して思いついた小話(酷)
    リンや周囲に振り回されるレンも男の子なんだよ主張です。
    むしろ、ハイパワー暴走娘と化したリンの救済話なんだろうか…
    リンチャンハ、カワイイデスヨ?

    あと、兄さんが最後に全部もっていくのは仕様です。←
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