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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2024 . 04
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    カンタレラの設定で、自重せずに話を作ったらこんな事に(ry


    ※いろんな意味で、閲覧注意。ED1より増し増しでダークです。



    Cantarella BadEnd 2



    叔父であるレオン卿来訪を祝う晩餐の最中、
    カイザレは突如胸部を木の杭で貫かれたような衝撃に襲われた。
    次いで襲う吐き気と眩暈。それらを知覚した次の瞬間、
    カイザレはそのすべての原因に思い至り、
    驚愕と絶望の浮かんだその蒼い瞳を見開いた。

    身体を引き裂かれているような凄まじい痛み。千切れていく己の思考。
    霞む視界の端には何事かを叫ぶミクレチアの姿…そして、カイザレは意識を失った




    「いい加減、休んだらどうだ」
    天蓋付きの寝台の横に置かれた長椅子に腰掛けたまま、
    彫像のように動かないミクレチアにレオンは苛立ちを隠せなかった

    カイザレが倒れた夜から既に3日の時が過ぎていた。

    ミクレチアを王太子へ輿入れさせるための最大の障害と化していたカイザレの皿に
    カンタレラを含ませよと命じたのは、他でもないレオンだった。
    代々ボカロジア家発展の為その政敵を屠ってきたカンタレラは、
    此度もその使命を果たしボカロジア家発展の為に、その当主の命を摘み取ったのだ。
    あとは、ミクレチアと彼女に恋をする愚鈍な王太子との婚姻を進め、
    彼女がその子を生す事さえすれば…ボカロジアの栄光は不動のものとなるはずだ。

    最初こそ、兄の死を受け入れることが出来ず正気を失ったかのように慟哭し、
    ただただ兄の胸に縋り付いて悲痛な叫びを発するばかりのミクレチアであったが、
    その夜が明ける頃にはいつもの平静を取り戻したように見受けられ
    レオンは己の計略がこのまま何の破綻もなく進んでいくのだと確信していた。


    だが、それは過ちだった。
    3日の間。兄の眠る寝台の傍に座り続けるミクレチアは、
    その外観こそ平静にみえども少なからずの狂気に支配されている事は
    傍目から見ていても疑いようがなかった。

    カイザレの亡骸を納めようと家の使用人が近づけば、気が狂ったように暴れて退け、
    ミクレチアの身を案じた女中が差し出す食事には手をつけず…
    ただ黙したまま座り続ける姪の姿に、レオンは恐怖にも似た感情を持ち始めていた。

    「…これはお前のためだ。ミクレチア。
    お前がカイザレにどの様な扱いを受けていたか…すでに噂として広まり始めた以上、
    事実として世間に知られる前にこうするしかなかったのだ!」

    「お兄様が…私に何か?」
    こちらを振り向くこともせずに発されたつぶやくようなミクレチアの言葉に、
    レオンは痺れを切らしたように叫んでいた。
    「神を冒涜し、口にするのも憚られるようなことだ!!」

    甥と姪の間で行われた行為その物への嫌悪感、どうすることもできなかった無力感、
    結果的に、計略のためとはいえ甥を手にかけなければならなかった罪悪感、
    目前に座す得体の知れぬ姪への恐怖心、そしてそれを覆い隠そうとする自尊心…
    さまざまな思いが綯交ぜとなり、
    レオンは怯える本心を隠すかの如く大声でわめき続けることしかできなかった。
    「お前は何とも思わんのか?!そう思う心まで、この悪魔に壊されたのか!!」

    怒鳴り声が途切れ、あたりが再び静寂に包まれる。
    レオンは肩で息をしながら、カイザレの横たわる寝台に目を向け…身震いをした。
    季節外れの蒸し暑い陽気が続いているにもかかわらず、カンタレラの毒の所為か、
    カイザレの身体は朽ち始めることなく、眠っているかのように横たわっている。
    ふとした弾みで息を吹き返しても、蒼色の瞳が再び開かれても、おかしくはない…
    否、ミクレチアはそれがわかっているからこそ、そうなる事を確信しているから、
    其処に座し続けているのではないのか?
    くだらぬ妄想とわかっていても、レオンはそんな考えを捨てきる事ができなかった。

    「…お兄様が悪魔?  フフ …叔父様は何もわかってらっしゃらないのね…」

    小さな笑い声と部屋に響いた声にレオンはハッとなった。
    戸惑いながらも視線を長椅子へと向ければ、
    今まで身じろぎすらしなかったミクレチアが肩を震わせている。
    「カイザレお兄様はね、本当はとても心優しい…優しすぎるひとなの。」
    笑顔のミクレチアはさも可笑しいと言わんばかりにレオンを見上げた。

    「お兄様は天使のような方よ?
    そのお兄様を悪魔にならしめたのは…心を壊したのは…私だもの」




    午後の日差しが柔らかな若葉の間から零れ落ちてくる。
    木漏れ日にキラキラと輝く窓辺で、
    幼いミクレチアはビスクドールを抱きながら所在なさげに俯いていた。

    「ミクレチア。どこにいるんだい、ミクレチア」
    「ここよ、お兄様」

    部屋に響いたボーイソプラノに、ミクレチアの表情がぱぁっと輝く、
    現れたのはミクレチアより一回り大きい蒼髪の少年、
    彼女のたった一人の兄にして、次期ボカロジア当主のカイザレだ。

    「また一人でいたの?子守達がミクレチアのことを探していたよ?」
    窓際の妹をまぶしそうに見つめながら、カイザレは部屋の長椅子に腰をかけた。
    「そんなところにいたら、日に焼けてしまうよ?こっちへおいで」
    兄に勧められるがまま彼の隣に腰をかけ、ミクレチアは頬を膨らませた。
    「…あたし、あの子守り、嫌い。」
    「どうして?」
    「とってもいやなこというんですもの」
    「いやな事って?」
    微笑を浮かべたカイザレに促され、
    ミクレチアはビスクドールの髪に顔をうずめながら小さくつぶやいた。

    「もう、お兄様の寝台にもぐりこんじゃだめだって」

    神妙な表情と、その台詞のギャップにカイザレは思わず噴き出した
    「お兄様!何故笑うの?!」

    「…あれはびっくりしたよ。目を開けたら目の前でお前が泣いているんだもの。」
    「だって本当に怖い夢だったんだもの!
    お兄様が消えちゃって、あたし、いっぱいいっぱい探したのよ!!」
    「夢の中で、だろう?」
    少し低い位置にあるミクレチアの髪をなでながら、カイザレは微笑んだ。

    「僕は消えたりしないよミクレチア。
    それに子守はお前のためを思って言ってくれたんだ。
    だから、嫌いになったりとか、こうやって隠れて困らせたりしたらだめだよ。」
    「…はい。お兄様」

    どこか不満そうな妹の姿にカイザレは小さく「いい機会かな…」とつぶやくと
    そのまま長椅子から立ち上がり部屋の隅に置かれているチェストへと向かった。
    不思議そうにその後姿を眺めるミクレチアに、カイザレは細やかな装飾に彩られた
    一枚の少女の肖像画を開いて見せた。

    「ミクレチア、これが僕の婚約者のメイザ嬢だよ。」

    「…こん、やく…?」

    きょとんとする妹に肩をすくめて、カイザレは言葉を続けた。
    「僕が将来結婚する女性さ。
    と、言っても、僕の生まれる前から決まってた話だから、
    こうして年毎に送られてくる肖像画だけで…
    まだ本人にお会いしたことはないんだけどね。」

    そう言いながら、カイザレは肖像画をじっと見据えた。
    鳶色の絵の具で塗られた少女の髪をまだ丸みの残る指先でそっと撫ぜる
    その兄の視線に、自分には到底向けられることのない…微妙な感情の機微を
    感じ取り、ミクレチアは凍りついた。
    「どうしたんだい?ミクレチア?」
    「ねぇ…お兄様はその方の事が…すきなの?」
    カイザレは、その年頃の少年らしくはにかむように笑った。
    「まだわからないよ。」
    そして、こう続けた
    「ただ…好きになれるような気はするけれどね。」

    その返答だけで、十分だった。




    時を越え、兄の寝室へと移された長椅子を思い出深げに撫でてから、
    ミクレチアはゆっくりと立ち上がった。
    「…まさか…ミクレチア…お前は!!」
    彼女の動きと相反するように顔を蒼白にしたレオンが怯えるように後ずさる

    「カンタレラは恐ろしい薬。相手を死に至らしめる以外にも恐ろしい力がある…」
    ボカロジア秘蔵の毒薬カンタレラ。
    匙の加減一つで相手を一日で殺すことも、一月で殺すことも、
    あるいは一年がかりで殺す事も可能なこの悪魔にはもう一つ、
    忌み嫌われるべき力を持っていた。

    「…お前は、カイザレに、兄に、カンタレラを、媚薬として使ったのか!?」
    レオンの声はもはや悲鳴に近かった。
    今、目前に立つこのあどけなさの抜けない娘が、
    己が政略のために利用していようとした娘が、
    悪名高きヘロデの娘のような手段を選ばぬ妖艶な魔女だったと知らされて、
    冷静でいられようはずがない。

    「ええ。私はお兄様のものになりました。」
    そんなレオンとは対照的に
    ミクレチアは遠く、夢を見ているかようにうっとりと語り出した。
    「でも、お兄様はその事に傷ついて…苦しんで…苦しんで…心が割れるほどに
    苦しみぬいて…そして私を愛してくれました。
    可愛いカイザレお兄様。
    …壊れゆく心を留めるため自分で自分を悪魔にせざるを得なくなった…」
    細い指が、血の気のうせたカイザレの頬をそっと撫でる。
    まるで、伴侶の目覚めを待つ妻のように。まるで、獲物に牙を立てんとする毒蜘蛛のように。

    レオンは大きく首を振ってから、自らを奮い立たせるように大声を出した。

    「突然カイザレがメイザとの婚約を破棄すると言いだした頃から、
    何かがおかしいと思ったが!!!
    ミクレチア…貴様自分が何をしたのか分かっているのか!?」

    「ええわかっています。レオン叔父様。…私はお兄様を自分のものにしたかったの」
    悪びれるそぶりすら見せず、ミクレチアは微笑を浮かべた。
    「そのためなら、どんな痛みだって、仕打ちだって…
    いいえ、お兄様の苦しみ藻掻く姿に引き替えたら…私は死んだって構わなかったの」

    感極まったかのようにミクレチアは小さく吐息を漏らすと、
    横たわるカイザレにしなだれかかった
    「可哀想なお兄様。天国の門にすら拒まれて、煉獄へ一人で堕ちていかれるのね…」
    慣れ親しんだ兄の香りに混ざり始めた屍臭さえ、愛しそうに抱きしめてから、
    ミクレチアはサイドボードに置かれたランプへと手を伸ばした。

    「大丈夫…ミクレチアが今すぐ側に参ります。
    愛しい愛しい、私の、私だけのカイザレお兄様…」

    眠れるカイザレに口付けたまま、ミクレチアは伸ばした手でランプを突き倒した


    「ミクレチアッ!?」
    倒れたランプの火が撒き散らした燃料に燃え広がり、
    周囲が一瞬のうちに火の海に包まれる
    部屋から逃げ出したレオンの声と足音が遠ざかり…
    ミクレチアは幸せそうに瞳を閉じた。


    地獄の底を思わせる紅蓮の炎に包まれながら、
    その中央で、カイザレの口元が綻んだ様に見えた。




    【BAD END2】終劇




    兄がサドならミクは真っ黒バージョン。
    多分真相フラグを全部立てるとこっちのエンディングになるんだと思います(?)

    出そうとした矢先ににゃっぽん内で「死にネタ自重」という流れになったので
    しばらくお蔵入りしてました。

    てゆーか、これ死にネタってレベルじゃねーぞー(棒読み)

    ここは自分の領地なんで好き勝手やらしてください…
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