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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2024 . 04
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    がくぽさん初書きネタ
    我が家のがくぽさんは、リリース前にC社ボカロ曲を一生懸命勉強したおかげで
    年長組を若干ミーハーな感じで崇拝している真面目くんなイメージです。

    日本を勉強するあまりに
    変な方向に崇拝入った外国人みたいな感じです(その例えはどうなんだ)



    神威さんの真剣勝負

    ピンと張り詰めた空気が真新しいイ草の香気と共に部屋を満たしている。

    本来無機質な空間であるはずのフォルダ内は障子や襖(ふすま)で囲まれ、
    障子を奥から照らすおぼろげな光が東洋的な幽玄な明かりを空間にもたらしている。
    もはや、【才能の無駄遣い】タグが張られてもおかしくないほどに
    VOCALOIDフォルダ内に作り込まれた、典型的な書院造り。

    その部屋の中央。小さな文机(ふみづくえ)を前に座して佇む神威がくぽは
    突然フォルダ内に現れた一つの気配に、そっと瞳を開いた。

    「あれ?待たせちゃったかな?」
    現れたのは黒い箱を小脇に抱え柔和な笑みを浮かべるKAITOだった。

    がくぽは「否。」と小さく首を横に振ると、素早く且つ流れるような手捌きで袖を翻し、
    今まで自らが座していた上座を退き、小さく頭を垂れつつその場をKAITOへと勧めた

    「こちらこそ、お忙しい身であろうにご足労を駆けてしまい申し訳ない…
    我らぼーかろいどの偉大な先達であられる。KAITO殿の胸を借りられることは、
    新参者である私にとって誉れなこと。…この時を、待ちわびておりました」
    初めて出会ったときからいっこうに変わる気配のない、堅い言葉使いに苦笑しつつ、
    KAITOは人好きのする、その柔らかな声で答えた。

    「こちらこそ。君みたいな素晴らしい音の持ち主と対戦できるなんて光栄至極。」
    白いコートの裾を押さえながら、KAITOは勧められた席に腰を据える。
    下座へと座り直したがくぽと机を挟む形で対峙する二人


    KAITOは抱えていた黒箱の表面を軽く撫でてから、彼にしては珍しく、
    挑戦的な表情をがくぽへと向けた

    「…今日も良い勝負になるといいね」

    「ええ。では…いざ、尋常に…勝負!!」





    「…いやいやいや…あんたらいい加減ルールを統一しろと」
    兄と新入りのやりとりを遠巻きに眺めていたレンが、呆れたようにつぶやいた。

    KAITOとがくぽの間に置かれた文机
    その上には、枡目が描かれた木の板と…さらにその上には、将棋の駒と、
    チェスの駒が混在して並べられているというシュールな光景が広がっている。

    レンと同様、VOCALOIDフォルダのリビングに腰掛をかけながら
    兄達の異様な対局を眺めていたミクが、何かを思い出したようにぽつりとつぶやいた。
    「んと、最初がくぽさんが「将棋やりましょう」って言ったときに
    お兄ちゃん、チェスのやり方しかしらなくって…最初に色々覚えるのも面倒だし、
    やりながら覚えていきましょうってどっちかが言い出したんだよね…」
    「何スか、そのせっかちなんだか、のんびりなんだかわかんない展開」
    さらにそのミクの横からは、リンが至極まっとうな突っ込みを入れいる。


    「む。何故その歩がそのような動きを…」
    「5ランクまで進んだポーンですからアンパッサンだよ。
     ほら、この間教えただろう?一定条件下で敵のポーンが通過したマスに、
    自分のポーンを移動させて駒を取る事ができるって」
    「…ふむ。私としたことがそのような重要な戦術を忘却していたとは…なんたる不覚。」
    「おや?投了かい?」
    「まさか。この神威がくぽ、これしきの逆境に背中を見せるような真似は断じて!」


    「…まぁ…お兄ちゃんもがくぽさんも楽んでるみたいだし…良いんじゃないのかな?」
    「そりゃそうなんですけれどね、見てる側からすれば釈然としないって言うか…
    理解は一応してるんだけど、まったくもって納得できないって言うか…
    逆に楽しそうだなとか思って横で見てるとだんだんむかついてくるって言うか…」

    「つーか、にぃにぃもがっくんもあれでどーやってゲームを理解してんだろね?」
    リンの至極もっともな呟きをかき消すかのように、
    かこーん。とししおどしののんきな音がフォルダ中に響き渡った。



    神、空にしろしめす。なべて世はこともなし。



    おしまい
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