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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2017 . 10
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    ちょっと不憫なレンと例の彼女(?)のお話。



    「いつまでやってるんだよ、早くしろって!」
    堅く閉ざされたドアを恨めしげに睨みつけながらレンは声を荒げた
    「うるさいっすよ!女の子の身支度にいちいちケチつけないの!」
    自分が荒げた声音をそのままトレースしたかのような刺々しいリンの返答に、
    「そもそも女の子ってキャラじゃないだろう」とこっそり毒づいて、レンは大きく肩を落とした。


    鏡音くんのひとめぼれ


    事の始まりはミクの何気ない「せっかくだからお外行ってみない?」という一言だった。
    お外といっても、自分達は単なる電気信号の集合体、
    単なるアプリケーションソフトである自分達は現実の、人間のいる
    現実平面に飛び出すことなど不可能だ。
    ミクが言う「外」とは今いるM/F(メインフレーム)外の電子世界…
    いわゆるインターネットのことを指している。
    そうは言っても、ただのソフト音源であるVOCALOIDに
    ネットワーク潜行能力など付いていないのはずなのだが…
    不思議そうに自分を見つめるリンとレンの前で、
    ミクが取り出したのは緑色に輝く不思議なディスク。
    「前にね、お兄ちゃんに作って貰ったの。
    OSさん達には内緒なんだけどコレを使うと
    使われてないポート使って、お外に行けるんだって!」
    「…思いっきりセキュリティホールじゃないですか…
    なんてものを妹に与えてるんだ、KAITO兄さんは…」
    「んー、でも面白げじゃない?」
    呆れるレンとは対照的に、リンは躊躇いもせず「私も行ってみたーい」と片手を上げた

    お目付け役(と言っても一方は黒幕だが)たる年長組は新曲の調整を行っているため、
    現在フォルダ内には彼らしかいない。
    抜け出すならこれ以上ないとっていいほどの絶好のタイミング
    そんな中一人眉根を寄せるレンに、ミクは『卑怯にも』悲しそうな表情を浮かべた。

    「レン君は…ダメ?」
    小首を傾げる上目遣いでこう訊かれ、拒否できる男がどこにいるだろうか、
    否、いるはずがない。
    背後でニヤつくリンの姿が気に障ったが、レンは二つ返事でそのミクの提案に賛同したのだ。



    そして冒頭の状況に話は戻る。

    「…いい加減にしてくれよ!いつまでまってりゃいいんだよ!!」
    レンは焦れたように再度大声を上げた。
    男子禁制!のかけ声と共にフォルダ外へ追い出されてはや数十分…
    何をしているのやらリンがいっこうに外に出てこないのだ。
    「ミクさんみたいな髪型ならともかく、あいつ髪も短いだろ…何やってんだよ…」
    こちらと同様に鍵のかけられたミクのフォルダからは、ドライヤーの唸る音に混じり
    何かが次々と倒れるような音とミクの短い悲鳴が聞こえてくる…。
    そっちはそっちでかなり心配な状況ではあるが…
    閉め出されているレンにはどうすることもできない。

    何の応答もないリンの態度に業を煮やし、
    レンがフォルダのドアに体当たりでもしてやろうかと後ろに数歩助走をつけた、
    次の瞬間だった。

    彼の視界のそのど真ん中をひらひらと薄空色の何かが横切っていく

    「なんだ?」
    数歩先に落ちたそれを拾い上げれば、どうやらそれは薄手のストールのようだ
    「…女物だよな…こんなの誰かつけてたっけ?」
    身近にいる女性といえば、MEIKOとリンとミクだが…
    彼女たちのものにしては見覚えがなさすぎる。
    ましてや、リンとミクは現在部屋の中に閉じ籠もっているので、彼女たちものとは考えにくい。
    …ではVOCALOID以外のアプリケーションでは…と考えたところで、
    レンの思考は強制的に中断した。

    「まってぇ!」

    突然背後から聞こえた高い声に振り向き、そしてレンはそのまま言葉を失った

    こちらへ向かって走ってくるのは、なんとも愛らしい姿をした女性型プログラム。
    凜としながらもどこ甘えたような声が聴覚デバイスに心地よい。
    声質からすると自分の設定年齢より上だろう、
    しかしそのわりに外見は幼い…というかどことなくあどけなさが残る姿で…

    「あぁ、よかった。貴方が拾ってくれたのね」
    「あ。えっ…こ、これっですか!?」
    思いもかけない美女との遭遇に、レンの声は無様にひっくり返る
    VOCALOIDらしからぬ醜態ではあったが、その女性は特に気にした様子を見せなかった。
    「ありがとう。巻き直そうとしたら飛んで行っちゃったの」
    女性は口元に人差し指を当てながらやわらかい笑顔を浮かべている
    一方のレンは頬を染めたまま、その女性をぼんやりと眺めることしかできなかった

    「拾ってくれてありがとう。とっても助かったわ」
    「い、いいいいや!!…こ、困った方がいたらお助けするのは当然じゃないですか!!」
    ぺこりと頭を下げる彼女に対し、レンは両手を振りながら慌てて言葉を紡ぎ出す。
    それは普段のレンの態度を知るものなら、
    思わず疑問を投げかけたくなるような発言ではあったのだが…
    その当の彼女は、その言葉に素直に感心したようだった。
    「まぁ!とっても素敵な心がけ!!えらいわね」

    まるで天使のような微笑みに、紅葉を散らしたようにうっすらと染まる頬。
    そんな彼女の姿を目の当たりにして、レンの思考は再び天に昇っていく…
    しかしそんな幸せな邂逅は、その彼女の慌てた声に突然遮られてしまった

    「あ…やだ、もうこんな時間?…急いで戻らなきゃ、ねえさまにおこられちゃう!
    「え、あ、あの…せめてお名前を…」
    どうにか正気を取り戻したレンの問いかけには答えず、
    女性ははにかむような笑顔を浮かべた。

    「じゃぁね、レン君!」
    手を振りながら軽やかに去っていくその姿を、
    レンはただ何かにのぼせたように眺めていた…


    「…きれいなひとだ…」
    「そうっすか?なんかなよなよし過ぎてあたしはパスかなぁ」
    突然右側からあがった声に、レンは瞬時に飛び退いた。
    「リンっ!!おまえ…どっからいたんだよ!」
    「レンレンが鼻の下のばしてあの人のニーソとスカートの間ちら見してたとこから」
    「その説明じゃわかんねぇよ!てかそもそもちら見なんかしてねぇよっ!」

    レンの怒鳴り声なぞどこ吹く風と言った様子で、リンは一人納得したように頷いた。
    「まったく男ってぇのはイヤっすねぇ~たとえ自分に好きな人いたって
    それより綺麗な人が目の前でてくりゃ、す~ぐデレデレしちゃって~」
    「誰がデレた誰がっ!」

    「なにしてるの?」
    背後で上がった声に、レンは今日がいわゆる厄日であることを確信した。

    「ミク姉!!今レンがそこで綺麗な女の人みて、鼻の下伸ばしまくってたんス!!」
    「のばしてなんか無い!!」
    「…女の人?…私達以外の?」
    にやにやと笑うリンとそれを大声で否定するレンの思惑から外れ…
    ミクが興味を持ったのは、その女の人そのものに対してだったよう
    そのことに少し胸をなで下ろしつつ、レンはその女性の特徴を口に乗せる
    「…ええと、青い髪の、黒い服着てて…青いストール巻いた方で、名前はわからな…」

    レンの説明半ばにして、ミクは納得したように大きく頷くと
    次の瞬間満面の笑顔で、こういった。

    「なんだぁ、それ、お兄ちゃんだよ」




    結局、その日の『おでかけ』は中止と相成った。
    理由は単純。ミクの発言を訊いた直後に鏡音リン・レンがフリーズしたためだ。
    正確にはあまりのショックにレンが処理オチし、リンはそれに巻き込まれただけなのだが…
    とにかくミクと、たまたま早く帰ってきたMEIKOの必死のリセット作業により、
    なんとか再起動した二人だったが…その復帰の程度は歴然だった。

    「ちょwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwテラバカスwwwwwwwwwwwww!!
    よりによってKAITOにぃに一目惚れwwwww」
    「………。」

    テーブルに突っ伏したまま未だフリーズから立ち直らないレンと、
    それを指さしながらけたたましい笑い声を上げているリン…
    一表現としてAAを使うことが許されるのならば、
    リンの姿として『m9(^Д^)プギャー』を使用することが最も正確な表現になるだろう…。

    「KAITOじゃなく…KAIKOよ、便宜上。
    あと『兄』か『姉』かもはっきりしてないから、一応注意しとくわ
    一方的な二人のやり取りを眺めていたMEIKOは、缶ビールを傾けながら言葉を発した。
    「まぁ表面上は女なんだけど…女装と女体化の違いというか…要するに根幹部分の話ね。
    本人は自覚してないみたいだから、本人に聞いてもトンチンカンな答えしか返ってこないし…」

    「…自覚が無いってどういうことッスか?」
    ぴくりとも反応を返さない相手に飽きたのか、リンが笑いをやめてMEIKOへと体を向ける。
    兄、この場合は姉であるかもしれないのだが…
    とにかく未知の存在への興味を隠すこともなく自分へと尋ねてくるリンを見て、
    MEIKOはどこか疲れたような声を出した。
    「KAIKO状態になると、それがあの子にとって通常の状態(デフォールト)になるわけ。
    だから、周りが何を言ったって『わたしのどこが変なんですか~?↑』って事になるのよ。
    もちろんKAITOに戻った時もそうよ、『僕、どこかおかしかったですか?』って。
    まったく、最初あんな姿になった時、こっちがどんだけ心配したとおもってんだか…」
    当時のことを思い出したかのように、MEIKOは大きな溜息をついた。

    「そういえば、前にあんまりはっきりしないから、無理矢理上着剥ごうとした時なん
    もうこの世の終わりみたいな顔して『はずかしいですぅ…やめてくださぃぃぃ…』って、
    あいつ男性型のくせに何なの!?
    何で私があんな理不尽な罪悪感感じなきゃなんないの!?」
    「お姉ちゃん…落ち着いて…」
    握られたビールの缶がひしゃげるのを見て、横にいたミクが慌てて次の缶を差し出した。
    姉の一時の感情が収まったのを見計らってから、リンは次の質問を口に乗せる。

    「でも、一体何でそんなことになるんスか?ジェンダーパラメータの誤作動とか?」
    「…最もらしい解釈を付け加えるなら…ユーザーの極端なパラメータ操作によって
    耐えきれなくなった外観データと思考ルーチンが一部暴走して…って所かしら」
    「よーするにー無理矢理女声やらされることに対して
    …データ単位で現実逃避してるって事ッスね?」
    「そう言われると微妙なのよねー
    MEIKOはぷしゅ、と次のプルトップを開けながら答える。

    「正直KAITOがどこまで自覚してやってるか、私にもよくわからないのよ。
    そもそもKAITOとKAIKOが記憶共有してるのか、
    または完全に別人格なのかすらはっきりしてないわ
    ま、外観と言動が若干変化するだけで、曲の収録が終われば元に戻るわけだから
    …特に問題はないでしょ?」

    「大有りですっっ!」
    MEIKOの言葉を遮ったのは、今の今まで机に突っ伏していたレンだった。
    机を叩くようにして立ち上がり、にらむようにMEIKO達を見据えるその表情は…
    今にも泣き出しそうである。

    「…これじゃ僕ただの道化じゃないですかぁっ!」

    血を吐くような悲痛な叫びが部屋中に響く。
    少年の純真を傷つけられた弟の気持ちはわからなくもないのだが…
    MEIKOは困ったように息を吐いた
    「…犬に噛まれたと思ってあきらめなさい…あれはもう事故よ、事故。」
    「狂犬の方がまだ愛嬌ありますよ!!
    第一、アレもうプログラムの暴走って範疇超えてます!」

    「まぁ単なる暴走ではないわね。外観や思考のモデルになってるのが一応いるわけだし…」
    そう言ってMEIKOは視線を自分の左側へと流す
    そんな姉の態度につられるように、リンとレンが彼女の視線の先へ顔を向けると…
    おそらく、この話の流れ自体あまり理解していないのだろう。
    曖昧な笑顔で三人を見返す、ミクの姿があった。

    「…レンレンってほんっとーに分かりやすい趣味してんスねぇ…」

    「うっるせぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」




    KAITOが収録を終え、リビングへやってくると…そこではなにやらリンとレンがもめていた。
    毎日仲良く理由を選ばず喧嘩をするのが彼らなので、
    それは毎度の事ではあるのだが…普段ならその姿を笑顔で傍観しているMEIKOが、
    なにやら話に加わっているのが気に掛かる。
    そして所々に聞こえる「だまされた」だの「純情を返せ」という不穏な単語……
    KAITOはとりあえず、少し離れたところからその三人を眺めているミクへと声をかけた
    「…なんだかにぎやかだね。みんなで何の話をしてるんだい?」
    「え?えと…」

    ミクはひとまず今までの会話を思い出し、
    その中から自分が理解できたいくつかの項目を抽出。
    さらにそれらを彼女独自の回路で組み合わせ、次の一言を紡ぎ出した。

    「みんなお兄ちゃんのことが大好きって話だよ!」

    「……そっか」
    所々聞こえてくる単語と微妙な齟齬が感じられたが、
    KAITOはあえてそれ以上尋ねようとはしなかった。

    「ねぇ、それよりお兄ちゃん新曲できたんでしょ?ねぇ!聞かせて!聞かせて!!」
    「うん?じゃぁ僕のフォルダ行こうか?ここ、何だか騒がしいし」

    妹の背に手を当てて、彼女をエスコートするように、諸悪の根源が去っていく…




    その夜、VOCALOIDフォルダからは
    いつまでも少年の悲痛な叫びが響いていた…



    めでたしめでたし(きっと)


    個人的KAIKOモード考察。
    我が家のレンは苦労人のようです
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