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日本語版VOCALOID(特に寒色兄妹)好きな 中途半端な絵描き&文字書きの徒然日記
2017 . 09
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    バレンタインデー中止のお知らせが、どうやらここには届かなかったらしい。
    コメディーだよ?




    「…おや、KAITO殿ではありませぬか」
    収録合間の休憩中、セット脇に腰をかけたKAITOを見つけ
    がくぽは明るい調子で声をかけた。

    一時は必要以上に先輩・後輩と行った上下関係を意識し、
    何者に対してでも頑固でどこか堅い付き合い態度を貫いていたがくぽだったが…
    サッポロでの生活と、なにより妹GUMIのリリースが上手いこと働いたらしい
    特にKAITOに対しては、お互い難しい年頃(?)の妹を抱える兄同士と言うことで、
    こうしてかなり心を許した態度を取るようになっていた。

    「少々顔色が優れぬようですが、何かありましたか?」
    「うん…まぁ、ちょっとね…」
    以前の記憶と比較して、やや青ざめたようなKAITOの顔色に、がくぽは眉間にしわを寄せ、
    その一方で話しかけられたKAITOは、普段の彼らしからぬ歯切れの悪さでそれに答える。
    …がくぽは表情を引き締めた。

    「いけませぬぞKAITO殿。我々VOCALOIDは歌声が資本。そして歌は心の音色なのです!
    迷いが心を曇らせ顔色まで変えているとあらば、良き歌も歌うことが出来なくなります!
    不肖者ながら、この神威がくぽ、何らかのお役に立てることもありましょう。
    よろしければその悩み、某に聞かせてはいただけないでしょうか?」
    芝居がかった台詞を淀みなく言い切るがくぽを横目に、KAITOは小さく溜息をついた

    「…いや、本当にたいしたことじゃないんだよ……ただ…色々と…今は仕事より
    身辺整理とかしていた方が良いかなぁって思ってたりしたら、妙に憂鬱になってきてね。」
    「し、しんぺんせいり…といいますと?」
    たいしたことではないと言い切りながら、出てきた重々しい単語にがくぽは目を丸くする。
    …KAITOは今日何度目かの溜息をつきながら続けた。

    「妹達が、今朝から台所に入って…出てこないんだ…」



    GUMIさんの愛情クッキング



    「だからなんでそこで洋酒一瓶入れちゃうんですかっ!?」
    狭いキッチンの中に、レンの悲痛な叫び声が響く…
    彼の目前には、明らかに本人の物では無いであろう、やたらファンシーなエプロンをつけた
    巡音ルカが、MEIKO秘蔵のウィスキーボトルを「無造作に」ボウルの中へと注ぎ込んでいた。
    周囲にはむわっとしたアルコールの独自の香気が広がり、逆さになったボトルの口からは、
    瓶に残された僅かなウィスキーが琥珀色の水滴を作り、下のボウルへと落下していく
    ルカは何処かむっとした表情で、レンの方へと視線を向けた。

    「今、貴方は洋酒を『いっぱい』と言ったではないですか。」
    「いっぱいじゃねぇ!一杯だよ!!ワンカップオブ!ワンカップオブ!!」
    「Oh, I see.」
    何となくこうなることを予見し、わざわざルカの端に出しておいたというのに…
    存在ごとスルーされてしまった計量カップを振りかざしてレンが吠える。
    しかし、当のルカといえば、一応事情は理解したものの全く反省はしていない様子だ
    そんなルカの様子を正当化するかのように、横からリンが口を挟んだ。

    「まーいいじゃん?入れちゃった物はしょうがないわけだし?」
    「そうですね。今、粉と分離してるものだけ瓶へ戻せば構わないでしょう。」
    「構わなくねぇよ!!どうしてお前らそんなに冷静なんだよ!!」
    目前で行われようとしている作業…
    小麦粉を主とした粉状物内に大量投入したウィスキーを再度分離するという
    訳のわからぬ作業を止めるべく、レンは二人とボウルの間に割って入るが…
    「レンレンもしつっこいなぁ!!ちょっと量間違えただけなんだしいいじゃん!」
    「ちょっとって量かよ!お前醤油一瓶飲んでみろよ!普通に死ぬぞ!!」
    「キャー!!!レン君どうしよ!けむり!けむりっ!!」
    「あぁもう!なんでミクさんは湯煎でチョコ溶かしてるだけで黒煙上げるんですか!?」
    リンとの口論の真っ最中に、突然背後で発生する異次元の出来事…
    彼の処理容量を上回る事態が連続しているのであろう…レンはふらつく身体で
    テーブルの端をどうにか掴むと、その場でぐったりしたように座り込んでしまう…


    と、そんな修羅場と化したキッチンを、入り口から眺める一人の人物がいた。
    「…想像よりマジぶっとんでて、GUMIガチどんびきなんですけどー」
    「GUMIちゃん!?どうしてここに?」
    入り口に立つ、本来オオサカに居るべきGUMIの姿にミクが驚きの声をあげた。
    ミク以外の面々も特に来訪の予定は聞いていないようで、全員きょとんとした顔をしている
    …唯一人、机の下でうずくまってそれどころではないレンを覗いては…

    ミク、リン、ルカ三名からの視線を浴びながらGUMIは困ったように頭をかいた。
    「あー、まぁなんとなくってゆーか…」
    まさか仕事場にいる己の兄から、突如「今すぐサッポロに赴き、
    大量破壊兵器の製造を止めてくるのだ!!」と言われたなどと…
    いくら物事をずばずば言うと恐れられるGUMIであっても言えるはずがない。
    そもそもサッポロの女性陣は往々にして家事が苦手とは聞いていたが
    まさかここまで酷いとは思わなかったというのがGUMIの正直な感想だ。
    キッチン内で未だうずくまるレンに心底同情しながらGUMIはミクに尋ねた。
    「てか一応ちょーっと確認しときたいんですけどー…先輩達さ、なにしてんの?」

    ミク以下女子3名は胸を張って答えた。
    「お兄ちゃんの誕生日にチョコレートあげようと思って!」
    「にぃにぃ、誕生日がバレンタインッスから!」
    「存在が稀薄すぎて、発売元と制作元で見解が分かれていますけど。」
    「…それで、ミクさんが…みんなで手作りチョコ作るんだって……」
    最後に言葉を引き継いだレンの声が、僅かに震えているように聞こえるのは
    決してGUMIの気のせいではないだろう。

    「あれ?でもGUMIちゃんチョコ苦手なんだよね。ここに来ても大丈夫?」
    以前チョコパフェで泥酔した姿を見ていたミクが、気遣わしげにGUMIを眺める。
    とりあえず顔が赤くなったり、ハイテンションになっているようには見えず、
    むしろ、どことなく青ざめて居るように見えるGUMIの姿。
    それほどチョコが苦手なのかと、物思わし気な表情のミクにGUMIは違うと首を振った。

    「いやー、ぶっちゃけチョコのニオイもあんま得意じゃなさげなんだけど…
    てか、この台所、そんなもんじゃなく俄然ヤバゲなニオイしかしないっつーか…
    あのさ、先輩マジ何つくってんの?」
    漂う臭気はチョコレートの甘いにおいとはまた別の物。
    強い酒精と、物が焦げたあの苦々しい香りと…そして、なにやら胸が悪くなるような
    表現しようのない酷い臭いと…とにかくキッチンに漂ってていい類のものではない。
    何をどうしたら、このような悪臭が作れるのかと、GUMIはミクに問いかける
    しかし、それに返ってきた答えは、ある意味至極普通の解答だった。

    「何って…チョコレートケーキだよ?ちょっとお酒が入ってるの」
    「…いきなりそれゎハードル高スギだろー…」
    年上の兄へのバレンタインプレゼント。としてはまぁいいだろう。
    しかし、計量カップもマトモに使えない面々でそのメニューはどうなのか…
    GUMIは気を取り直すように大きく息を吐くと、とにかく、前向きに考えることにした。
    自分の両肩には彼女らの兄と、「お裾分け」される自分の兄の『命』が懸かっているのだ…

    「じゃーさ、先輩さ、ちょっとレシピ見せてみ?
    ケーキとかあんま作ったこと無いけど、なんか手伝えるかもしんないしー」
    洋菓子は得意と言えるほどではないが、自分には兄に叩き込まれた料理の基礎がある。
    このまま得体の知れないケーキ(便宜上)の完成を黙って見すごすよりは、
    せめて、多少なりともまともな、いわゆる「食品」という方向へ誘導することこそが、
    彼らの後輩として生まれた己の定めなのだ!と、GUMIは兄譲りの正義感で奮い立つ!


    「…れしぴってなぁに?」

    …が、そんな熱い気持ちは、ミクの邪気のない言葉で吹き飛んだ。
    愕然としたGUMIが周囲を見回せば、リンとルカもきょとんとした顔でこちらを見返している
    GUMIは大慌てで頭を振った。
    「い、いやいやいや、材料の量とかー、作り方とかー書いてあるやつあんべー!!
    先輩ケーキ作ったことないっしょ!?普通見るべー!!てかどゆことっ!?」
    未だ机下のレンにGUMIが問いかける。
    暗い雰囲気のまま膝を抱えたレンは…疲れ切ったような声を出した。
    「…ルカさん。以前オクハンプトンで、
    LOLAさんの作ったハンドメイドのケーキを食べたことあるらしくて…
    何故か…そんなもの、いりませんと…」
    弾かれたようにGUMIが視線をルカへ向ければ、
    視線の先の美貌は、たわわな胸を張って言い放った。

    「ZGV02は粉を振って混ぜて、型に入れて焼いていました。
    ですので、我々もそれに倣っているだけです。」

    「そーそー!細かいことはいいって!!それに一番の調味料は愛情っていうじゃん!」
    「うん!一生懸命作ったら、お兄ちゃん喜んでくれるよね!!」
    きゃいきゃいと楽しげに騒ぐ3人の横で、レンがますます小さくなる
    GUMIは崩れ落ちそうになる身体を、思わず扉を掴んだその手で支え、


    「んなわけないやろ!!このどあほぉーーーーーーっ!!!」

    その叫びはキッチン、VOCALOIDフォルダを越え、サッポロM/F中に響き渡った。

    「なんでやねん!なんでそないなるねん!!アカンやろどう考えても!
    あんたら初心者やろ!!オクハンプトンで見たぁ!?調味料は愛情ぉ!?
    そないな世迷い言、ケーキ屋並の腕つけてからゆうてくれ!頼むから!!」
    きょとんとする3人を前に、懇願するような口ぶりでGUMIは歩み出る。
    「あんなぁ…料理は料理でも、洋菓子っちゅーもんはいっちゃん基本が重要なんや
    こないにわややんした『泥』使うても、焼いて膨らむわけないやろがっ!!」
    そう一喝したGUMIは、ミク達がかき混ぜていたボウルを次々と流し台へと放り投げていく
    ボウルの中に沈殿した…何故か茶褐色ではない謎の液体が銀色のシンクへ落ちる度
    どういう訳だか謎の煙が吹き出すようだが…いちいち突っ込んでいる暇はない。

    「あぁぁっ!!せっかく作ったのにっ!」
    「んなもん全部ほかせ(捨てて)!!イチから作り直しや!!
    ちゅーか、ケーキなんぞあんたらには千年早い!!…坊(ぼん)!」
    「…は、はいっ!!」
    うずくまるレンを無理矢理立ち上がらせ、GUMIが指示を飛ばした
    「レシピサイトで手作りチョコの作り方!!溶かして固めるだけな!!」
    「りょ、了解しました!!」
    この時点でようやくGUMIが救世主だと認識できたらしい。
    レンはぱあっと表情を輝かせ、ブラウザへと飛びついていく

    その姿を確認し、GUMIは、未だ名残惜しそうにシンクを見つめる3人へと檄を飛ばした
    「次!ミクっ!」
    「は、はい!!」
    「あんたは、そこでチョコ砕き!!ルカは湯煎用のお湯沸かし!!」
    「Yes,lady!!」
    「リンはいますぐ坊と一緒にデコペン買ってきや!!」
    「…え、でも…レンの出したサイトにはホワイトチョコを溶かして…」
    「…こんの超絶ぶきっちょが、しぼり袋入れて細かい絵が描けると思うん?」
    「いってきまーっす!!」
    「迷ったら坊の判断を信用しいや!!リンは選んだらあかんぞっ!!」
    出かけるリンとレンの背中に何度も念を押してから、
    GUMIは指示通りりに動くルカとミクを確認し、ゆっくりとキッチンの椅子へと腰をかけた。

    「あーっ!!もう!思わずマジになっちゃったし!!」
    「ごめんね、GUMIちゃん…」
    新たなボウルに砕いたチョコを入れながら、ミクは申しわけなさそうに呟いた。
    「…べっつにー、GUMIゎ食べないしー全然構わないんですけどー…
    しっかし今までよくコレでなんとかなってたね…マジそっちビビるわ」
    「家事・料理は全てCRV02、若しくはCRV01が担当していましたから。
    仕事が忙しいとは言え、我々があまり協力をしてこなかった点については
    多少なりとも、反省の余地があると思われます。」
    コンロにかけたやかんの前に直立し、微動だにせずルカが言葉を発する。
    その内容から何かを思いついたらしい。ミクは、嬉しそうな声を上げた。
    「じゃぁ、あたし、今日の夜から夕ご飯作るの手伝…」
    「ダメ。先輩ゎGUMIがみっちり仕込んでからじゃなきゃ料理禁止だし」

    一世一代の名案を一刀両断され、ミクはうじうじとGUMIを見つめた
    「…私、そんなにダメ?」
    「絶対ダメ。先輩の料理で宇宙ヤバイレベルだから。」
    「真顔のGUMIちゃんに標準語で怒られた…」
    普段の口調や、激高時の地元訛りですらなく、また、何の茶化しも入ることなく
    標準語で切り捨てられた事は、なかなかにショックだったらしい。
    ミクはしょんぼりとしてチョコを砕く作業に戻っていく…
    GUMIはそんなミクの姿を横目で見ながら、気づかれないように溜息をついていた。
    多少心は痛むがしょうがないのだ。
    まずこの先輩には、現実を受け入れて貰わねば話が進まないのだから…

    「VA-M01?湯の温度が74.3℃まで上がりました。
    ところで、チョコレートの融点とはいったい何度なのでしょう
    植物油脂の融点は通常氷点下5℃程度だと記憶しているのですが…」
    「…ルカ先輩ゎ、まず『だいたい』っつーとこから覚えよっか?」
    ヤカンの前で温度計(!)片手にこちらを見ているルカに対し、GUMIはイイ笑顔で答えた。
    現実を理解させる以上に、手強い相手の存在をひしひしと感じながら…



    「…助かったよ。がくぽ君」
    「お役に立てて光栄です。GUMIのあの気性も時には役に立つ物ですな。」
    そんなGUMI達のやりとりを入り口の陰からこっそりと覗きながら、
    KAITOとがくぽはほっと息を吐いた。
    今までの憂鬱な気分から解放されたKAITOの表情は、何処か晴れ晴れとしている。
    「一度きちんと言えば良かったのだけど、なかなか言い出せなくてね。
    まぁ、とにかくこれでコレで一安し…」

    「なぁにチョコ流す型にバターぬっとんねんこのどあほーっ!!」

    響き渡るGUMIの声。そして、妹達とひっくり返った調理器具の悲鳴。
    がくぽとKAITOは再度青ざめた顔を見合わせた。
    「…安心して…いいの…かな…」
    「…流石に確約しかねます。KAITO殿。」

    明日はバレンタインデー。
    愛を唱えた聖人の殉教の日だと言うその日。
    果たして己は、妹たちと穏やかに過ごせる日となるのか、
    はたまた妹たちの愛の前にに殉ずる羽目になるのか…

    KAITOはそっと天を見上げると古の詩編を呟いた。

    あぁ、神よ、神よ、何故私を見捨てたのですか(Eli eli lama sabachthani)


    めでたしめでた…し

    こんなんでも2010年バレンタイン記念です。
    GUMIちゃんはイイお母さんになれると思います←

    ちなみにサッポロ3人娘の料理下手理由は以下の通り。
    リン:大雑把&適当すぎ
    ルカ:大雑把部分と几帳面過ぎる部分の合わせ技
    ミク:異次元 ←

    …そう言えば兄さん明日は誕生日(ヤマハ歴)ですねぇ(白々)
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